2日、農村経済院が発表した「米国大統領選挙、農業・通商政策示唆点」によると、トランプ前大統領が当選した場合、米国政府は二国間交渉を通じて米国の貿易収支の改善に積極的に乗り出すものと予想されている。
全般的な通商政策で、トランプ前大統領は保護貿易中心の政策を打ち出しているためだ。これは同盟国との関係を重視する民主党の政策の方向性と、同盟国および国際機関との関係よりは貿易規制と対中国への強攻を掲げる共和党の政策方向とも一脈相通じるものがある。
代表的な経済政策としては、保護貿易強化の一環として米国に輸出される農食品に対する関税が新たに賦課・または引き上げられる可能性がある。この場合、韓国産の農食品の米国内での価格競争力が落ち、農食品輸出の鈍化につながる恐れがある。
農林畜産食品部によると、今年の第3四半期までの農食品の輸出額は73億750万ドル(約1兆1100億円)で、1年前に比べて8.3%増加した。この中でも米国への輸出が前年に比べて20.8%増加した11億6090万ドル(約1775億円)で最も多かった。
韓国の農食品の対米輸出時の通関もさらに厳しくなる可能性もある。米国は韓国の農食品輸出において通関での問題が最も多く発生する国だ。昨年発生した通関時の問題469件のうち、約30%に達する140件が対米輸出の過程で発生している。主要な項目はラベリング・包装(51件)が最も多く、成分不適合(46件)、書類不備(21件)、衛生(13件)、残留農薬検出(4件)などだった。
米国の農産物の輸入圧力が高まり、農食品分野の貿易収支が悪化する懸念もある。韓国農業研究院は「トランプ候補者が当選した場合、今後米国の農業通商は輸出企業に対する米国政府の支援よりも関税交渉などを通じた貿易収支改善に比重を置くものと予想される」と述べ、「米韓FTAの改正を要求する可能性もあるが、牛肉や果物などの検疫問題、そして新しい生命工学製品の承認手続き改善などのような非関税障壁に対する要求がありうる」と述べた。
さらに「米国は韓国にとって最大の農食品輸出市場であるため、先制的な対応が必要だ」と述べ、「農食品輸出市場の多角化を通じて米国に対する依存度を減らし、欧州や東南アジアなどに向けた輸出を拡大させる戦略も必要だ」と強調している。
一方、民主党のハリス候補が当選すれば農業通商分野において環境・労働問題の重要性が大きくなる可能性がある。2026年から導入される予定の炭素国境調整制度(CBAM)に似た形が農業部門にも導入された場合、米国に輸出される農食品のうちで炭素排出量が高いイチゴやトマト、キュウリなどの野菜と加工食品を中心に、低炭素農食品生産のための技術開発および支援を強化する必要があると指摘している。
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