世論調査会社の韓国ギャラップが先月29日~30日にかけて、18歳以上の男女約1000人を対象に行った調査の結果、尹大統領の国政運営を「支持する」と答えた人は前週の調査に比べて1ポイント下がって19%だった。
今年4月、韓国では総選挙があり、尹政権の「中間評価」と位置付けられ注目されたが、尹政権を支える与党「国民の力」が惨敗する結果となった。「国民の力」の獲得議席は108議席にとどまった一方、最大野党「共に民主党」は175議席を獲得。野党勢力は、憲法改正案や大統領の弾劾を求める議案を可決できる200議席には届かなかったが、改選前に引き続き、政局の主導権を握れることになった。
総選挙後、5月第5週の尹氏の支持率は21%まで下落した。しかし、その後、徐々に回復を見せ、7月第3週には29%まで回復した。しかし、政府が医師不足対策として今年2月に打ち出した大学医学部の定員増をめぐる議論が過熱したことも影響して、尹氏の支持率は再び下落傾向となり、韓国ギャラップが9月13日に発表した世論調査で、支持率は20%となった。
そして前述のように、韓国ギャラップが今月1日に発表した調査結果によると、尹氏の支持率は初めて20%を割り、19%となった。不支持の理由で最も多かったのは「金建希氏をめぐる問題」の17%で、これに「経済・国民生活・物価」(14%)、「コミュニケーション不足」(7%)などと続いた。
金氏をめぐっては、輸入車ディーラー「ドイツ・モーターズ」の元会長が2009~12年、株価を不正に引き上げるなどした事件に関わった疑いで2020年4月、最大野党「共に民主党」の前身の「開かれた民主党」から告発された。ソウル中央地検は今年7月、金氏に事情聴取を行った。現職大統領の夫人が検察から聴取を受けるのは金氏が初めてのことだった。だが、検察は先月、「金氏が犯行に加担したと認定するのは困難」として金氏を不起訴処分にした。また、検察は金氏が知人から高級ブランド「ディオール」のバッグを不正に受け取った疑惑についても同月、不起訴とした。金氏をめぐる問題の対応では、尹氏と与党「国民の力」のハン・ドンフン(韓東勲)代表との確執も表面化した。
尹氏は今月10日に任期の折り返しを迎えるが、ここにきて、尹氏にも疑惑が浮上した。「共に民主党」は尹氏が2022年5月の大統領就任前日に政治ブローカーと交わしたとする通話内容を暴露。同年の国政選挙に違法に介入したとの疑惑を提起した。「共に民主党」はこの疑惑への追及を強めており、尹氏の支持率のさらなる低下につながる可能性もある。
支持率が10%台に落ち込んだことについて、韓国メディアのニュース1は「レームダック(死に体)が本格化」と指摘した。毎日経済は「何か反転の契機がなければ、残りの任期は長く、険しい道になるだろう。今の支持率が底を打つという保証もない」とし、「大統領室と内閣の大々的な再編、金夫人をめぐる問題の前向きな解決策を打ち出すことを望む。それが民意だ」と主張した。
現政権に批判的な韓国紙のハンギョレは論説委員によるコラムを掲載した。ファン・ジュンボム論説委員は「大統領の弾劾や任期の短縮という単語を口にするのに何らはばかりのない政局だ」とした上で、尹氏に浮上した疑惑について「世間は『このままでは弾劾か』とざわついている」と世論の雰囲気を伝えた。その上で、ファン論説委員は「残りの2年半を、日々『任期短縮または弾劾の話』を聞かされながら過ごすのか」とし、「大統領としての権威と信頼が底をついている中、尹大統領に何ができるだろうか。このままでは、残された道は1)植物大統領2)辞任3)弾劾だ」と指摘した。
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