2019年、南北軍事境界線にある板門店で首脳会談を行ったトランプ氏(左)と金正恩氏(資料写真)=(聯合ニュース)
2019年、南北軍事境界線にある板門店で首脳会談を行ったトランプ氏(左)と金正恩氏(資料写真)=(聯合ニュース)
【ワシントン聯合ニュース】米国の韓国専門家らは6日(現地時間)、トランプ次期大統領が来年1月に就任すれば、韓国との事前調整なしに北朝鮮と直接交渉し、在韓米軍の駐留経費負担引き上げを要求するなど韓米関係に緊張が生じる可能性があるとの見通しを示した。

◇トランプ政権の外交・安保政策「閣僚の人選が左右」

 米シンクタンク、ブルッキングス研究所東アジア政策研究センターのアンドリュー・ヨー上級研究員は、聯合ニュースの書面インタビューに対し「トランプ政権下で韓米関係という道はさまざまな理由により平坦ではなく予測不能になるだろう」と予想した。

 ヨー氏は、トランプ氏が韓国に対し在韓米軍の駐留経費を追加で請求すると繰り返し述べており、これが韓国と摩擦を引き起こす恐れがあるとの見方を示した。

 また、トランプ氏は北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)やロシアのプーチン大統領のような独裁者に親近感を感じているとし、伝統的な共和党員や米安全保障分野の既得権層がトランプ氏と視点を共有することはないが、トランプ氏の認識が対北朝鮮政策の意思決定に影響を及ぼす可能性があると説明した。

 金正恩氏やプーチン氏がウクライナや危機緩和に関して合意しようとトランプ氏に接触することを決めた場合、トランプ氏は同盟国と協議せずに譲歩する恐れがあり、これは韓国など同盟の域内安保を弱体化させるとして憂慮を示した。

 ただ、トランプ政権の外交・安保政策は閣僚の人選によって左右されると予想した。 

 ヨー氏は「トランプ氏が反自由主義政権に対してタカ派的視点を持つ保守・主流指向の共和党員の声に耳を傾けるなら、トランプ政権は域内の安保を維持するために韓米同盟に頼る可能性が高い」と予想した。

 一方、トランプ氏が世界の問題に介入したくないMAGA共和党員(トランプ氏の熱狂的支持者)に囲まれれば、同盟・パートナーとの自由民主的な関係において大転換が起きるだろうと述べた。

 韓米経済協力に関しては、米インフレ抑制法(IRA)と半導体法自体は維持されるが、トランプ氏が政策を転換する可能性があると指摘。なかでも気候関連の政策が転換された場合は、クリーンエネルギー分野の韓国企業が米国への大規模投資を維持しようとする要因が減少する恐れがあるとの見方を示した。

◇米朝首脳会談「トランプ氏が大きく譲歩しない限り不透明」 

 米ランド研究所のブルース・ベネット上級研究員は、トランプ氏が過去に主張した政策を今後実行すると仮定する人が多いが、このうちいくつかは再検討される可能性が十分にあると指摘した。国防長官、国務長官、大統領補佐官(国家安全保障担当)など外交・安保高官を誰が担当するかが重要だと述べた。

 ベネット氏は、トランプ氏が韓国により多くの駐留経費負担を要求する可能性について、韓国が米国の軍需企業を説得すれば圧迫を減らすことができるとの考えを示した。

 同氏は韓国国防部が米軍需企業に対し、「国会が国防部に防衛費予算を与えないので、米国政府に支払う防衛費が増えれば購入を計画していた軍事装備の予算を使うしかない」と説明したと推測。米主要軍需企業が韓国との取引を失わないよう、トランプ氏に圧力をかけることもあり得ると予想した。

 第2次トランプ政権で米朝首脳会談が開かれる可能性については、「トランプ氏は金正恩氏と交渉できる能力を大いに誇示してきたが、金正恩氏は2019年のハノイでの米朝首脳会談後、トランプ氏に非常に腹を立てた。トランプ氏が大きく譲歩しない限り、金正恩氏が会談に同意するかどうかは不透明だ」と述べた。 

 トランプ氏が過去、韓国が独自の核兵器を開発する方策を考慮することが可能だと述べたことについては「参謀らがそのような立場を撤回するよう説得する可能性が高い」と予想した。

◇韓国はトランプ政権当局者と「緊密な関係維持すべき」

 米ハドソン研究所アジア太平洋安全保障部長のパトリック・クローニン氏は、トランプ氏が北朝鮮と直接交渉し、韓国など同盟国と十分な調整を行わない可能性を提起した。

 クローニン氏は「尹錫悦(ユン・ソクヨル)政権は安保や貿易に支障をきたす可能性を最小限にするためによく準備してきた」とし、問題はトランプ氏が独裁者と直接交渉する場合、同盟を捨てたとの認識を招き、意図せずにそのような結果をもたらす可能性があるという点だと指摘した。

 また、韓国がリスクを最小限に抑える最善の方法はトランプ氏と閣僚が就任する過程で緊密な関係を維持することだとし、議会執行部と近い関係を構築することも必須だと説明した。


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