5日に投開票が行われた米大統領選は、結果を左右する激戦7州のうち、トランプ氏が東部ペンシルベニア、南部ノースカロライナ、同ジョージアなど4州を制し、早々と勝利宣言した。支持者を前に演説したトランプ氏は、「かつてない政治的な勝利だ。第47代大統領という特別な栄誉を与えられたことに感謝したい」と述べた。その上で、「世界で最も素晴らしい国を取り戻したい」と決意を示した。
トランプ氏の勝利が確実になるや、尹大統領は6日夜、SNSに祝いのメッセージを投稿。「心からのお祝いを申し上げる。これまで見せてくれた強力なリーダーシップのもと、韓米同盟とアメリカの未来はより輝くだろう。今後もより緊密に協力していくことを願う」と祝意を示した。
7日朝には早速、トランプ氏と電話で会談した。韓国大統領室の発表によると、会談は12分間行われ、両氏は近く対面することで合意した。尹氏は日米韓3か国の連携について言及。「今後、韓米同盟が安全保障や経済など、あらゆる領域にまたがる緊密なパートナーシップに繋がるよう取り組みたい」と述べた。これに対し、トランプ氏は「米韓が良好な協力関係を維持することを期待している」と応じた。また両氏は、軍事的挑発を繰り返す北朝鮮についても意見交換し、憂慮を表明。北朝鮮問題について協議の必要性で一致したという。
米大統領選については、韓国メディアも投開票日前からトランプ氏が勝利した場合、ハリス氏が勝利した場合について米韓関係に与える影響を中心にさまざまな観点から報じてきた。トランプ氏勝利という結果に、韓国メディアの多くは懸念材料を中心に伝えている。
朝鮮日報は7日付の社説で、「トランプ氏は第1次政権で中国との貿易戦争を宣言し、周辺国には常に経済的圧力を加え、また、同盟国に対しても機会ある度に安全保障に対する見返りを求めた。近く成立する第2次政権も基本的にはこれと変わらないだろう」と予想した上で、「米国と経済・安全保障の両面で同盟を結んできた韓国としては再び不確実な状況に直面することになった」と懸念した。社説は、貿易分野における米中対立と世界的なサプライチェーン再編の影響を受け、韓国の最大の輸出相手国は中国から米国になったとし、「このような状況で第2次トランプ政権が再び保護貿易に乗り出した場合、韓国経済にとって大きな負担になるだろう」と不安視した。
また、社説は、トランプ氏が韓国のことを「マネーマシン」と呼び、防衛費の値上げを要求してきたことを振り返り、「就任すれば直ちにこの問題から持ち出してくるはずだ。トランプ氏の満足できる回答を韓国が提示できない場合、トランプ氏は在韓米軍の規模縮小をちらつかせてくる可能性が高い」と懸念を示した。
聯合ニュースは、北朝鮮問題について「トランプ氏が北朝鮮の核保有を認め、今まで韓米同盟が追及してきた『北朝鮮の非核化』の目標を捨てる懸念も出ている」とし、「専門家の間では、韓国だけが北朝鮮の核の脅威にさらされる状況に繋がり、韓米間の対北朝鮮協力はもとより、同盟の根幹まで揺らぐ最悪の局面が繰り広げられる危険性まで提起されている」と報じた。
一方、聯合は「危機はあるものの、機会もあるとの分析も出ている」とし、「韓国軍のミサイル弾頭重量の制限解除や、ロケットに対する固体燃料の使用制限の解除など、1期目のトランプ政権で実現したように、2期目でも円満な関係を維持できれば、韓国が望む分野での成果が期待できるという見方もある」とした。
韓国紙のハンギョレは「米国の対外政策も、価値観を共有する同盟国を糾合して中国とロシアに対抗するという『価値観外交』から、自国の利益を排他的に掲げる『一方主義外交』へと修正される可能性が高まった」とし、「韓国政府も『トランプリスク』を最小化するために、コミュニケーションを強化しつつも、『価値観』より『国益』を前面に掲げる柔軟な外交への方向転換を模索すべきだ」と主張した。
一方、尹大統領は7日、自身の5年の任期折り返しを前に記者会見し、米大統領選についても言及。日米韓3か国の協力については、トランプ氏の就任以降も順調に進むとの認識を示した。尹氏は「前のトランプ政権では、韓米日3か国の企業間の協力関係を構築した」とし、「これが3か国の経済と安全保障にまでつながり、世界で共同のリーダーシップを発揮するのに役立った」と述べた。懸念される関税引き上げや米韓自由貿易協定(FTA)の再交渉の要求などについては「バイデン政権と同じとは言えないが、韓国が受ける影響や国民経済の損失を最小限に抑えるため、多方面に努力している。以前からリスクへの対策を立て、備えてきた」と述べた。
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