2019年6月、南北軍事境界線がある板門店で対面したトランプ氏(左)と金正恩(キム・ジョンウン)氏(資料写真)=(聯合ニュース)
2019年6月、南北軍事境界線がある板門店で対面したトランプ氏(左)と金正恩(キム・ジョンウン)氏(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】米大統領選でトランプ前大統領が勝利してから13日で1週間となったが、北朝鮮は同日午前9時までに対外向けメディアの朝鮮中央通信をはじめ、朝鮮労働党機関紙の労働新聞や朝鮮中央テレビでもトランプ氏の当選に関するニュースを一切報じていない。

 北朝鮮が米大統領選の結果を直ちに報道しなかったのは異例ではなく、トランプ氏が初めて当選した2016年11月8日の米大統領選の結果は10日以上が経過した19日、韓国を非難する内容の記事で間接的に報じられた。

 20年にバイデン大統領が当選した際は約2カ月以上沈黙を続け、就任後の翌年1月23日に対外向けメディアで初めて報道した。

 一方、トランプ氏は1期目の在任中に金正恩(キム・ジョンウン)国務委員長(朝鮮労働党総書記)と2回首脳会談を行い、3回対面するなど個人的な交流があることから、今回は迅速に反応する可能性があるとの見方が出ていたが、北朝鮮は沈黙を守っている。

 これについて、北朝鮮は米新政権がどのようなメッセージを発信するか見守っている公算が大きいと分析される。

 トランプ氏は大統領選の期間に金正恩氏との関係性を強調するなど好意的なメッセージを発したが、対北朝鮮政策を具体的に提示することはなかった。

 北朝鮮は、第2次トランプ政権の外交・安全保障分野の要職が「対北朝鮮タカ派」の人物で固められている点も注視していると予想される。  

 第2次トランプ政権の初代国務長官への起用が有力視されている共和党のマルコ・ルビオ上院議員は、過去に金正恩氏に対し「数十個の核兵器とわれわれが立っているこの場所を打撃できる長距離ロケットを持った狂人が北朝鮮にいる」と非難した対北朝鮮強硬派だ。

 国家安全保障問題担当の大統領補佐官に就任するマイク・ウォルツ下院議員も6月、CNNテレビのインタビューで北朝鮮にエネルギーを提供する中国やロシアの企業に対し2次制裁を科すことを提案するなど、対北朝鮮制裁の履行を強調してきた人物だ。

 これら人物が金正恩氏や北朝鮮に対して批判的な発言を行えば、北朝鮮はこれを口実に第2次トランプ政権を強く非難することで初めて反応を示す可能性がある。

 北朝鮮は第2次トランプ政権でも米国との「交渉」よりは「対決」を強調する公算が大きいことから、トランプ氏の当選を祝う友好的メッセージではなく非難のメッセージを出すタイミングをうかがっているとみられる。

 ロシアとの軍事協力を強化するなか、当面は米国との関係改善に関心を払わないだろうとの分析もこのような見方を裏付けている。

 韓国政府系シンクタンク、統一研究院の鄭盛允(チョン・ソンユン)統一政策研究室長は6日に公表したオンラインリポートで「北もトランプが画期的な提案をしない限り、当分の間は『ロ朝協力が先、米朝対話が後』を念頭に置いて核能力の増強にまい進するだろう」との見通しを示した。

 一方では、北朝鮮が米国を非難するメッセージを出したとしても、今後の交渉の可能性に備えて金正恩氏とトランプ氏の個人的な関係性まで傷つけることはしないだろうとの分析も出ている。


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