米大統領選は、共和党候補のトランプ前大統領が勝利し、4年ぶりに返り咲きを果たした。勝利宣言で、支持者を前に演説したトランプ氏は、「かつてない政治的な勝利だ。第47代大統領という特別な栄誉を与えられたことに感謝したい」と述べた。その上で、「世界で最も素晴らしい国を取り戻したい」と決意を示した。
トランプ氏の勝利が確実になるや、各国の首脳は祝意を示した。韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領も6日夜、SNSに祝いのメッセージを投稿。7日朝には早速、トランプ氏と電話で会談した。尹氏は日米韓3か国の連携について言及。「今後、韓米同盟が安全保障や経済など、あらゆる領域にまたがる緊密なパートナーシップに繋がるよう取り組みたい」と述べた。これに対し、トランプ氏は「米韓が良好な協力関係を維持することを期待している」と応じた。また両氏は、大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射など、軍事的挑発を繰り返す北朝鮮についても意見交換した。尹氏は北朝鮮が韓国に向けて相次いで飛ばしている「ゴミ風船」の動向などについても説明した。尹氏は自身の任期の折り返しに合わせて同日行った記者会見で、トランプ氏との電話協議について触れ、「(トランプ氏は)北朝鮮について関心を持っているのか、先に話された。(尹氏の説明に対し)信じられないと(話した)」と述べた。両氏は、北朝鮮問題について協議の必要性で一致したという。
トランプ氏は1期目の任期中の2018年から翌年の2019年にかけて、北朝鮮のキム・ジョンウン(金正恩)総書記と2回、米朝首脳会談を行った。トランプ氏は首脳同士の直接対話で非核化に向けた措置を引き出そうとしたものの、制裁の緩和と非核化の進め方をめぐって会談は物別れに終わり、その道筋をつけることはできなかった。
トランプ氏は今年7月、共和党の大統領選候補の指名受諾演説で金総書記について触れ、「私が戻れば、彼とうまくやる。彼も私の復帰を望んでいる」と述べた。この発言の後、北朝鮮は国営メディアを通じて論評を発表。「韓米関係の展望に対する未練を膨らませている」とした上で、「国家の対外政策と個人的感情は区別すべきだ」と牽制(けんせい)した。
米大統領選はトランプ氏が勝利したが、北朝鮮はこれまでのところ、反応を見せていない。前述のように、金総書記はかつてトランプ氏と米朝首脳会談を行うなど交流があることから、今回は迅速にメッセージを発するとの見方も出ていたが、沈黙を貫いている。朝鮮労働党の機関紙、労働新聞や朝鮮中央テレビ、対外向けメディアの朝鮮中央通信も関連する報道をしていない。一方、韓国の聯合ニュースは、北朝鮮が米大統領選の結果を直ちに報じないのは異例なことではないとし、「トランプ氏が初めて当選した2016年11月8日の米大統領選の結果は10日以上が経過した19日、韓国を非難する内容の記事で間接的に報じられた。20年にバイデン大統領が当選した際は2か月以上沈黙を続け、就任後の翌年1月23日に対外向けメディアで初めて報道した」と指摘した。
沈黙を貫く一方で、北朝鮮は米大統領選後を見据えたとみられる人事を既にとっている。先月、北朝鮮は国会にあたる最高人民会議で、新しい国防相にノ・グァンチョル人民武力相を任命。ノ氏は過去2回行われた米朝首脳会談で、金総書記らに同行していた人物だ。また、聯合ニュースは「北朝鮮は、第2次トランプ政権の外交・安全保障分野の要職が『対北朝鮮タカ派』の人物で固められている点も注視していると予想される」と指摘した。
前述のように、トランプ氏は選挙期間中、「彼(金総書記)とうまくやる。彼も私の復帰を望んでいる」と述べており、第2次トランプ政権発足後、両氏による3回目の米朝首脳会談が開かれることになるのかも注目される。韓国紙の国民日報は、トランプ氏が2期体制をスタートさせてから6か月以内に、金総書記と会談する可能性があると予想する専門家の見解を伝えた。
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