北朝鮮が南北軍事境界線付近に設置した拡声器(資料写真)=(聯合ニュース)
北朝鮮が南北軍事境界線付近に設置した拡声器(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】北朝鮮が韓国との軍事境界線付近に設置した拡声器による宣伝放送の騒音が数カ月間続き、韓国側の境界地域に暮らす住民が体調不良を訴えている。

 境界線に近い京畿道金浦市によると、同市の精神健康福祉センターが8~14日、境界地域の住民102人を対象に精神健康検査を実施した結果、2人が「ハイリスク群」、27人が注意の必要な「関心群」と診断された。ほとんどが70~80代の高齢者である住民たちは検査で睡眠障害やストレス、不安などの症状を見せたという。

 金浦市の境界地域では北朝鮮が9月から拡声器を使った宣伝放送を行い、住民たちが騒音による精神的・肉体的な被害を訴えている。同地域に住む住民は「奇怪な騒音が昼夜を問わず北側から流れていて、夜に眠れない」として、「また何か起きるかもしれないという不安のため、日常生活が苦しい」と語った。

 別の境界地域である仁川市江華郡の精神健康福祉センターも2日、住民78人を対象に調査を行った結果、約1割が日常生活での困難を訴えた。ある住民は「動物の鳴き声や幽霊のような音、サイレン音などいろいろな騒音が夜間や深夜にも聞こえ、睡眠障害を起こしている」と語った。

 同郡の堂山里の里長は「騒音は午前1~5時に最もひどくなり、堂山里の147世帯すべてが睡眠障害を抱えている」として、「(北朝鮮が)スピーカーを追加で設置したのか騒音がますますひどくなり、仕方なく睡眠剤を飲んでいる住民も多い」と伝えた。

 江華郡では北朝鮮の騒音放送により、住民計約2万2600人が影響を受けていると推定している。仁川市は3億5000万ウォン(約3900万円)をかけ、北朝鮮の放送が最も大きく聞こえる35世帯の住宅に防音施設を設置する方針だ。江華郡の関係者は「地域別に騒音を測定して被害の程度を把握し、行政安全部や仁川市と協議し支援を拡大する予定」と明らかにした。


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