内乱罪の疑いが持たれているユン・ソギョル(尹錫悦)大統領に対して、国会が弾劾訴追案を可決した。大統領としての職務が停止された尹大統領は「決してあきらめない」と述べ、憲法裁判所で法理争いに出る意向を明らかにした。

14日の午後5時に国会の本会議が開かれ、賛成204票、反対84票、棄権3票、無効8票で尹大統領の弾劾訴追案を可決した。野党議員(計192人)に加え、与党議員も少なくとも12人が賛成票を投じたものとみられている。国会で現職の大統領弾劾訴追案が可決されたのはノ・ムヒョン(盧武鉉)元大統領、パク・クネ(朴槿恵)元大統領に続いて今回が3度目だ。

この日の午後7時24分、弾劾訴追案議決書が大統領室に伝えられ、軍の統帥権と法律案の公布・拒否権や外交権など、大統領としての尹大統領の権限は憲法裁判所の弾劾審判決定時まで停止された。大統領権限は憲法裁判所の決定までハン・ドクス(韓悳洙)首相が代行する。大統領警護処はこの日、韓大統領代行に対する専担警護隊を編成し、警護のレベルを大統領に準ずる水準に格上げした。ただし、憲法裁判所の決定まで大統領としての地位は維持されるため、尹大統領は警護と儀典、業務推進費を除いた給与はそのまま受け取ることができる。

尹大統領は職務停止に先立って発表した国民に対する談話を通じ、「私は今しばらく立ち止まるが、この2年半、国民と共に歩んできた未来に向けた旅路は決して止めてはならない。私は決してあきらめない」と述べ、「私に対する叱責、激励と声援を全て心に抱いて最後の瞬間まで国家のために最善を尽くす」と自身の立場を明らかにした。憲法裁判所の弾劾審判で積極的な防御に向けて動くとの意味と解釈されている。今回の立場表明文では戒厳の経緯についての言及はなかった。尹大統領は今後官邸にとどまり、弾劾審判の戦略を模索するものとみられている。

今後の尹大統領の運命は、捜査当局と憲法裁判所が決めることになった。韓国の憲法上、現職大統領は在任中に刑事訴追を受けないが、内乱・外国為替罪は例外だ。憲法裁判所で6人以上の裁判官が弾劾を支持すれば尹大統領は罷免される。現在、憲法裁判所の裁判官9人のうち3人が空席だが、国会では3人の裁判官の任命手続きを急ぐ方針だ。憲法裁判所法では、憲法裁は審判事件を受け付けてから180日以内に終局決定宣告をしなければならない。

野党は非常戒厳宣言で国会活動を禁止し、国会と中央選挙管理委員会に戒厳軍を投入した行為が憲法機関を転覆させたり不能状態にしようとする国憲紊乱(びんらん)、すなわち内乱に当たると主張している。警察や高位公職者で構成された捜査本部もすでに尹大統領に対する強制捜査を予告している。

大統領室は、今回の非常戒厳令は大統領の「統治行為」に過ぎず、内乱には当たらないと主張している。尹大統領は12日、国民に対する談話の中で「大統領の非常戒厳宣言権の行使は赦免権の行使や外交権の行使のような司法審査の対象にならない統治行為」と述べ、「国を救おうとする非常措置を国を滅ぼそうとする内乱行為と見なすことは、多くの憲法学者と法律家が指摘しているように、韓国の憲法と法体系を深刻な危険に陥(おとしい)れることだ」と述べた。また、今回の非常戒厳措置は国会に対する「警告」に過ぎなかったと尹大統領は主張している。大統領室では内乱事態の捜査と弾劾審判に備え、キム・ホンイル前放送通信委員長など法定代理人の選任の準備を進めているが、尹大統領本人が弁論要旨書の作成などを直接行う可能性もあるという。

しかし、憲法裁判所がこのような法理を受け入れるかどうかは不透明だ。1997年に最高裁は非常戒厳の宣布や拡大が国憲紊乱の目的を達成するためのものならば司法審査の対象になるとし、チョン・ドゥファン(全斗煥)元大統領とノ・テウ(盧泰愚)元大統領などに対する処罰を確定した。
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