アラブ首長国連邦(UAE)がサウジアラビアから「世界最大手」のタイトルを奪った。UAE3大国富ファンドのひとつである「ムバダラ」が昨年、全世界の国富ファンドの中で最も大きな投資金額を支出し、世界で最も活発に投資した国富ファンドとして浮上したためだ。UAE政府の政策によりムバダラが今年も豊富な資本をグローバル企業に供給すると予想されているため、韓国国内の市場関係者らは資金調達に対する期待感を高めている。

国富ファンドリサーチ機関のグローバル国富ファンド(SWF)によると、昨年UAEの国富ファンドのムバダラ投資公社が全世界の国富ファンドの中で投資額が最も大きかったことが分かった。ムバダラの昨年の投資額は292億ドル(約4兆6000億円)で、前年の175億ドル(約2兆7600億円)に比べて67%も急増した。一方で、昨年の全世界の国富ファンドの投資額の増加率は平均で7%に過ぎなかった。

ムバダラはUAEが展開する経済多角化政策に寄与し、国内総生産(GDP)で非石油の比重を高めるためにさまざまな産業に対する投資を増やしている。昨年、ムバダラはアブダビ投資公社(ADIC)、ムバダラキャピタル、人工知能(AI)・半導体分野の技術投資会社であるMGXなどの子会社を通じて投資領域を拡張した。ムバダラはアウトバウンド投資でエネルギー、石油化学、生命科学、ヘルスケア分野に集中し、インバウンド投資ではスマートシティ、教育、金融分野に関心を示している。

ムバダラが投資額を増やし、世界的な影響力を拡大するなか、2023年に1位を占めていたサウジPIFは、むしろ支出を減らしている。PIFの昨年の投資額は200億ドル(約3兆1500億円)で、前年の316億ドル(約4兆9800億円)に比べて減少した。SWFはPIFが昨年、グローバル投資よりも国内投資に舵を切ったためだと分析している。ビンサルマン皇太子が中心になって繰り広げるビジョン2030の計画を達成するために、自国のインフラプロジェクト中心の投資が行われたためだ。

これとは異なり、昨年ムバダラのグローバル投資のうちの85%が先進国市場で行われた。現地の専門家らは「UAEが国富ファンドの財政力を用いて世界で影響力のある政府、企業、機関と関係を構築している」と述べ「収益を上げるためもあるが、国際的な影響力を育てようとする戦略的な歩みとみることができる」と分析している。

例えばムバダラは12月、アポログローバルマネジメントと2022年に締結した数十億ドル規模のパートナーシップを延長すると明らかにした。これで米国との関係を深めたと評価されている。ムバダラは他にも日本で再生エネルギー事業に、中国で製薬・バイオ事業に投資し、アジア市場攻略の動きを見せている。

今年もUAEのグローバル投資の動きは続く見通しで、韓国国内の資本市場の関係者らの期待も高まっている。韓国国内では特に中小ベンチャー分野での投資と協力がさらに活発になるものと期待されている。昨年、国内最大のグローバルスタートアップイベントであるコムアップ(COMEUP)2024に参加したアルマズルイUAE経済部創業担当官は、両国政府間の協力が強固になっていることを強調した。そして、両国の協力強化が中小ベンチャー企業の成長にまでつながるべきだと強調した。

この他にも、昨年訪韓したアラブ首長国連邦(UAE)のナフヤン大統領が、国富ファンドを通じて60億ドル(約9450億円)を投資する計画があることを示唆した。これに伴い、国内のスタートアップ企業の間でUAEの国富ファンドから資金を調達できるという期待が高まっている。

現地で活動中の業界の関係者は「サウジで活動していたポートフォリオを持ってUAEに進出したり、逆にUAEで活動して中東各地に事業を拡張するベンチャー関係者が増えている」と述べ、「2030年を目標にUAE政府が世界の有望企業に対する投資を増やすことを決めているため、不安定な国内情勢でも多様な資本市場関係者が現地で機会を捉えることができるものと見られる」と現地の雰囲気を伝えた。
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