韓国カルト宗教「JMS」総裁、女性信者への性的暴行などで有罪…懲役17年確定

女性信者への性的暴行と強制わいせつなどの容疑で裁判にかけられていた韓国カルト宗教「キリスト教福音宣教会（JMS）」のチョン・ミョンソク総裁（79）に懲役17年の刑が確定した。

韓国最高裁は9日午前10時10分、準強姦（ごうかん）・準類似強姦などの容疑で起訴されたチョン被告に対する上告審宣告期日を開き、懲役17年を宣告した原審を確定した。懲役とともに15年間の位置追跡装置の装着、10年間の児童青少年機関および障害者機関への就業制限、10年間の情報公開も確定した。

チョン被告は2018年2月から2021年9月まで、チュンナム（忠南）クムサン（錦山）郡の修練院などで23回にわたり香港国籍の女性信者メープルさん（29）にわいせつな行為をしたり性的暴行を加え、オーストラリア国籍の女性信者エイミーさん（30）と韓国人女性信者にもわいせつな行為をした容疑で拘束起訴された。

チョン被告側は裁判の過程で、「女性信者らは洗脳されたり抗拒不能な状態ではなく、自分は神ではなく人だと説教を続けてきた」として容疑を否認した。一方、検察はチョン被告が自身をメシアと称し信者らを洗脳した後、宗教的な地位を利用して犯行を繰り返してきたと主張した。

1審裁判部は、「録音ファイルの証拠能力を認めることができ、自らをメシアと称し絶対的な権力を持っており、被害者らが性的自己決定権をまともに行使できない状況で犯行に及んだ」としてチョン被告に懲役23年の刑を宣告した。

これに対しチョン被告側は量刑の不当を主張して控訴し、2審はこのような主張を一部受け入れた。2審裁判部は、「1審は量刑基準に基づき算出された勧告刑の合理的範囲の裁量を超えたとみるべき」とし、「量刑基準に基づく勧告刑の範囲である懲役4～19年の間で宣告する」と減刑の理由を説明した。

特に2審裁判部は、1審で決定的な有罪の証拠として使われた被害者メープルさんが提出した犯行現場の録音ファイルの証拠能力を認めなかった。2審裁判部は、「被害者が被告人と一緒にいた当時の現場状況を録音したと考えるのが妥当だが、これを録音した携帯電話は現在なく、原本ファイルと証拠として提出された複写ファイルの同一性、完全性を立証することはできない」と指摘した。

最高裁はこのような原審の判断を認容し、被告人の上告を全て棄却した。

これに先立ち、チョン被告は2001年から2006年までに女性信者4人にわいせつな行為をしたり性的暴行を加えた罪で懲役10年を宣告され服役した後、2018年2月に出所している。