金融通貨委員会は昨年10月に政策金利を0.25%引き下げ、金融政策を引き締めから緩和に転換。11月も市場の据え置きの予想に反して追加利下げに踏み切った。2会合連続での利下げは世界金融危機の際の6会合連続利下げ(2008年10月~09年2月)以来初めてで、それだけ景気・成長低迷の兆候が鮮明になったといえる。
さらに、尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の「非常戒厳」宣言と弾劾訴追も重なって昨年末から消費や投資など内需の冷え込みに対する懸念が高まり、政府・与党を中心に利下げによる景気浮揚を促す声も高まった。
それにもかかわらず韓銀が3会合連続の利下げを回避したのは、通貨安が大きな影響を及ぼしたと分析される。
ウォンの対ドルの為替レートは、トランプ前大統領が再選を果たした昨年11月初めから米国の物価・市場金利上昇への期待を背にウォン安が進み、同月中旬に1ドル=1410ウォンを超えた。12月3日に尹大統領が非常戒厳を宣言してからは上昇幅が拡大し、年末には世界金融危機以降で初めて1480ウォンを突破。今年に入っても韓国の政局や第2次トランプ政権の発足に伴うドル高の見通しとあいまって1450~1470ウォン台で推移している。
ここに利下げも加わればウォン安がさらに進み、1ドル=1500ウォンを上回る可能性も取り沙汰されている。為替相場を安定させることができなければ輸入物価が上昇してインフレの可能性が高まり、金融商品などへの影響も避けられない。
米連邦準備理事会(FRB)による利下げペースの調節の動きも政策金利据え置きの重要な根拠になったもようだ。
昨年12月に米連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会合で公開された見通しによると、FRBの委員らは今年末の政策金利見通しとして3.9%を提示した。昨年9月の見通し(3.4%)より0.5%高く、現在の金利水準(4.25~4.50%)を踏まえると利下げの回数は当初予想された4回ではなく2回となる。
このような中、韓銀が今月28~29日に行われるFRBの会合での利下げ有無を確認せずに利下げを行えば、米国との金利差は1.50%から1.75%に広がり、ウォン安や外国人投資家の資金流出のリスクが高まりかねない。
経済・金融指標の確認や景気浮揚のための財政政策との兼ね合いからも、金融通貨委員会では利下げのタイミングを1月より2月とした委員が多かったようだ。
昨年10~12月期の成長率の速報値や昨年12月以降の非常戒厳宣言・弾劾訴追の影響が反映された消費増加率、補正予算の編成是非を含む財政政策の規模や執行速度などを来月まで見定め、今年の経済成長率見通し(1.9%)を多少引き下げると同時に利下げを行うのが最も安全で合理的と判断したと分析される。
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