※画像はイメージです
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韓国は今月29日、旧正月を迎える。既に旧正月の連休に入っており、韓国政府は本日27日を臨時休日に指定したことから、25~30日まで最大6連休となる。日本同様、地方出身者の多くはふるさとに帰省し、親や親戚らと一緒に新しい年を祝うが、こうした中、旧正月に夫の実家訪問を控えていたある女性によるオンラインコミュニティへの投稿が話題になっている。

韓国の旧正月「ソルラル」は1年の始まりを祝う名節として、旧暦のお盆「チュソク(秋夕)」とともに二大名節にあげられる。旧正月の伝統的な過ごし方といえば、親戚や近所の人同士が集まって「セベ(歳拝)」と呼ばれる挨拶を交わす。子どもたちにとっては挨拶の後にもらえるお年玉「セベットン」が楽しみの一つだ。「チャレ(茶礼)」と呼ばれる祭事も行われ、儀式の際には「チャレサン(茶礼床)」と呼ばれる神や先祖への特別な供養物が用意される。

また、日本は年末に歳暮を贈る習慣があるが、韓国はソルラルに合わせてギフトセットを贈ることが多い。旧正月が近づくと、スーパーやデパートのほか、果物屋、肉屋といった個人経営の店にも名節ギフトが並ぶ。ギフトは生鮮食品や加工食品、日用品、生活必需品、健康食品など様々で、最近は若者と高齢層で購入傾向に違いが見られるという。

韓国政府は今月9日、「旧正月名節対策」を発表した。帰省客らで混雑する旧正月の連休期間に高速道路の通行料を無料にすることや、消費促進を狙い、伝統市場で使える商品券を過去最高規模の5兆5000億ウォン(約6000億円)分発行した。また、外国人向けのショッピング・観光イベント「コリアグランドセール」を今月15日~来月28日まで実施する。

そんな中、あるオンラインコミュニティに22日、「旧正月に(夫の実家に)行きたくないといった娘のおかげで涙が出た」とのタイトルの投稿があり、話題を呼んでいる。8歳の娘を持つこの女性は、普段から夫の実家に行くたびに家事を手伝い、何かと姑(しゅうとめ)に気を使うことが多かったという。女性はそんな姿を娘に見せないよう心がけていたというが、大変そうな様子を察知した娘は、父親に対し、「おばあちゃんの家に行かないで。おばあちゃんがお母さんに文句を言う。行けばお母さんがつらくなる」と訴えたという。女性は「まさか8歳の子どもがそんなことを感じ取っているとは思わなかった」とし、「耐えることが良いことだと思っていたけれど、子どもにとって良くないかもしれない」と投稿した。女性は今年の旧正月には夫の実家に行かず、自身の実家に行くことを決めたという。

韓国では、旧正月や秋夕の名節の前からストレスがたまり、名節後に脊椎や関節に異常を感じたり、めまいや頭痛、腹痛、動悸(どうき)などの症状を訴えたりする人が見られる。こうした症状は「名節症候群」などといった名称で呼ばれる。「世界のどこにもない、韓国だけにある唯一の疾患」との見方もある。名節に向け、数週間前から親戚などへのギフトの手配や、先祖供養の祭祀「チャレ」で使用する供え物の調達など忙しくなる。また、旧正月では親戚付き合いなどに過度な精神的負担を感じる人もいる。「名節症候群」は特に女性に多く見られるとされる。名節の準備は女性に集中しがちで、何もしない夫に妻が愛想を尽かし、関係が急速に悪化したあげく離婚に至るケースもみられるという。「料理を食べて片付けるのを繰り返すのが果たして伝統文化か」などとして「名節を廃止してほしい」などと訴える声もある。

コロナ禍では、名節においても行動の自粛が呼び掛けられ、従来のような伝統的な名節の過ごし方も変化を余儀なくされた。だが、これまで「名節症候群」に悩まされてきた人たちからは、負担が減るとして安どの声も出た。だが、日常が戻り始めた頃から、ネット上では、また「名節症候群」に悩まされることになるのかと嘆くコメントも見られた。

韓国交通研究院の予測によると、今年の旧正月には帰省や旅行などで3500万人が移動するという。
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