乗客・乗員181人が乗ったバンコク発のチェジュ(済州)航空の旅客機は、先月29日午前8時半ごろ、務安国際空港に接近。管制塔が着陸許可を出した後、旅客機のパイロットはバードストライク(鳥の衝突)が起きたと伝えた。機体は救助を求める遭難信号を出し、1度目の着陸は「ゴーアラウンド(やり直し)」となった。何らかの原因で車輪が正常に作動せず、2度目に胴体着陸を試みた後、機体は滑走路を離脱して外壁に衝突し、炎上した。
この事故で、乗員・乗客179人が死亡。韓国で発生した旅客機事故としては最大の被害、また、韓国機の事故としては、1997年に229人が死亡した大韓航空グアム墜落事故以来の人命被害が発生した。現場の状況について、韓国紙の朝鮮日報は当時、「文字通り修羅場だった。空港の外壁に衝突した旅客機は胴体後部と尾翼の一部だけ何とか形が分かるほどしか残っていなかった。真っ二つに割れた機体の全部は完全にバラバラの状態だった。遺体の回収作業を行っている救助隊員らが『これほど残酷な現場は生まれて初めて見た』と口々に語るほどだ」と伝えた。
今回の事故の原因としては、「バードストライク」や「ランディングギア(降着装置)の誤作動」などが指摘されている。国土交通部(部は省に相当)は今月7日の記者会見で、「エンジンに入り込んだ土を除去する過程で羽毛の一部を発見した」と明らかにした。
また、今回の事故では、機体が滑走路先に設置されたコンクリート製の構造物に衝突したことが被害を増大させた要因との指摘が出ている。この構造物は旅客機を滑走路に誘導するアンテナの一種、ローカライザーを支えるために設置されていた。コンクリート製の構造物は滑走路の端から約200~300メートル離れた場所にあったが、国土交通部はこの位置の設置に法的に問題はないとの認識を示しており、今月7日の会見でもそうした立場を改めて示した。
一方、国土交通部の鉄道事故調査委員会が事故原因の調査を進めている中、同委員会は11日、ブラックボックス(フライトレコーダーとコックピット・ボイスレコーダー)の記録が、機体が衝突して炎上する約4分前から途絶えていたことを明らかにした。衝突前の最後の4分間の記録は、事故原因を解明するための重要な手掛かりになるとみられていた。
国土交通部の航空鉄道事故調査委員会は25日、初期の事故調査報告書を公表した。報告書によると、旅客機の2つのエンジンからトモエガモの羽毛や血痕が発見された。トモエガモは大きな群れで移動する冬の渡り鳥。務安空港の防犯カメラには、事故機と鳥の群れが接触する様子も捉えられていた。報告書は鳥と衝突する「バードストライク」との関連性に注目しつつも、事故原因については「調査継続中」とした。事故調査委によると、同空港の管制塔は当時、この旅客機に「鳥類活動注意」を伝えた。その後、機長、副機長から「旅客機の下に鳥の群れがいる」との趣旨の報告があった。それから39秒後、コックピット・ボイスレコーダーとフライト・データレコーダーの記録は全て途切れた。これについて韓国紙の東亜日報は「機長と副機長が鳥の群れを認知した直後に鳥の群れと衝突し、事故機の電源供給の中断(シャットダウン)が発生したと推定されるところだ」と伝えた。
ICAOは事故後30日以内に調査の予備報告書を作成することを義務付けている。事故調査委はICAO、米国、フランス、タイに報告書を提出した。ICAO は1年以内に最終報告書を公表するよう求めている。調査委は「細かい分析と検証には数か月以上の時間が必要」とし、引き続き調査を進める考えを示した。
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