李秀満氏(A2Oエンターテインメント提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
李秀満氏(A2Oエンターテインメント提供)=(聯合ニュース)≪転載・転用禁止≫
【ソウル聯合ニュース】「私たちは『韓流』という限定的な単語を超えなければならないと思います」――。

 韓国の大手芸能事務所、SMエンタテインメントを創業し、総括プロデューサーを務め、現在はA2Oエンターテインメントのキープロデューサー兼ビジョナリーリーダーの李秀満(イ・スマン)氏(72)には過去数十年にわたり「挑戦」または「開拓」という単語が付いてきた。

 李氏は1970年代にデビューし、歌手や司会者として活躍した。1990年代に歌手ヒョン・ジニョンを見いだし、韓国歌謡界にブラックミュージックを取り入れるなど音楽プロデューサー兼制作者として輝かしい成功を収めた。

 1995年にSMエンタテインメントを設立し、翌年デビューしたH.O.T.(エイチオーティー)をはじめ、S.E.S.(エスイーエス)、SHINHWA(神話)、Fly to the Sky(フライ・トゥ・ザ・スカイ)、BoA(ボア)、東方神起、SUPER JUNIOR(スーパージュニア)、少女時代、SHINee(シャイニー)、EXO(エクソ)、Red Velvet(レッドベルベット)、NCT(エヌシーティー)、aespa(エスパ)などスター歌手・グループを多数輩出した。徹底的なトレーニングとプロデュースに代表される李氏独自のノウハウはK―POPシステムの「標準」として定着した。

 23年に保有株を売却してSMエンタテインメントを離れた李氏はA2Oエンターテインメント(以下、A2O)を設立して人生の第3幕を迎えた。

 A2Oは動画投稿サイト「ユーチューブ」を通じてルーキーズ(練習生)を公開した。昨年12月には同事務所初のグループ、A2O MAY(エーツーオーメイ)が東方神起のヒット曲「呪文 ―MIROTIC―」のリメーク曲でデビューした。

 李氏は3日、聯合ニュースの書面インタビューに応じ、K―POP、韓流、そしてA2Oを通じた未来ビジョンについて語った。SMエンタテインメントを離れてから韓国メディアとのインタビューを行ったのは初めて。これからは「韓流」を超えなければならないとし、「ネクストステップの第4段階は完全なグローバリゼーション」だと強調した。

 李氏は2000年代から、K―POPを輸出する第1段階、現地とK―POPの合作を行う第2段階、現地でK―POPを生み出す第3段階について説いてきた。李氏の持論は20年以上が経過した今も国内のほとんどの大手芸能事務所に受け入れられ、各事務所はメンバー全員が外国人のK―POPグループを世界デビューさせる段階に至った。

 李氏は、韓流3段階を設計し実現させてきたが、これからは「Beyond K―POP(K―POPを超えて)」の段階に入らなければならないとの見解を示した。A2Oの所属アーティストの中国活動も、準備真っ最中の米国・日本活動も全てグローバリゼーションの一環であり、「こうした理由から、A2Oの音楽をK―POPではなく『Zalpha Pop(Z世代とアルファ世代をターゲットにした音楽)』という新名称を使ったのです」と説明した。

 また「まるで私の音楽人生はこれから始まるような喜びを感じています。私が描く未来の一つ目は世界1位の韓国発エンターテインメント企業(の実現)であり、二つ目はセレブリティー(スター)と技術の結合を通じて新たな解釈とプロデュースを行うこと、三つ目はその結果物をセレブリティーとファンが完全に共有し、共に幸福を感じることです」と語った。

 A2Oは「Alpha to Omega」の略で、始まりから終わりまで全ての部分をセレブリティーとファンが共にするという抱負が込められている。若者が直接参加し、創作し、グローバルセレブリティーとコミュニケーションを行う独自のプラットフォームを提供することが目標だ。

 一方、A2O MAYの曲の音源を中国語圏のプラットフォームでのみ配信し、ルーキーズの大半が中国人であることに対しさまざまな見方が出ている。

 李氏は、K―POPを中国に輸出するのではなく中国現地でK―POPを生産するという自身の考えに対する懸念の声があることも承知しているとした上で、「音楽には国境がなく、国境をなくさなければなりません。最も大きな市場で最も大きなスターが誕生します。中国(のプラットフォーム)のほかにもスポティファイでも曲が公開され、所属アーティストは西欧圏でも活動することになるでしょう。ルーキーズの国籍もさまざまです」と説明した。

 続けて、ここ数年間、K―POPグループが爆発的な人気を集めたが、そのバトンを受け継ぐ新しいグループの出現を待つときが来たようだとの見方も示した。「市場の反応を見ながらプロデュースする立場として革新を考えないわけにはいきません。グローバリゼーションをどのように進めるか、『K』を取り払って完全に世界化する音楽とセレブリティーのプロデュースをどのように行うか、その方法を探すことが鍵です」と強調した。


Copyright 2025YONHAPNEWS. All rights reserved. 40