人権委はこの日、「戒厳令の宣言によって引き起こされた国家的危機に関する人権侵害防止策の勧告および意見表明の件」の決定文を公開した。この決定文は、人権委が10日に全員委員会で修正可決した「尹大統領の防御権保障」に関する案件の内容を整理したものだ。
決定文では、尹大統領がこれまで主張してきたように、「戒厳令宣言後、軍隊が国会や中央選挙管理委員会に投入されたが、国会議員190名は国会に入り、非常戒厳解除要求の決議案を可決した。銃器の使用はなく、国会議員など国会の構成員が逮捕されたり拘禁された事例はなかった」と述べている。
さらに、「尹政権発足以来、国会が野党の多数議席に基づいて高位公職者29名に対して弾劾訴追を発議し、そのうち13名を弾劾訴追したことは権限の濫用と見なされる余地がある」とし、「大統領尹錫悦の非常戒厳宣言は、高度な政治的・軍事的性格を持つ統治行為に属すると考えられる」との内容も含まれている。
人権委は、尹大統領の人権侵害を防ぐために、憲法裁判所長に対し、大統領の弾劾審判において刑事訴訟に準じた厳格な証拠調査を実施し、適法手続きを遵守する必要があるとの意見を表明した。また、ソウル中央地裁と中央地域軍事裁判所に対し、尹大統領など戒厳令に関連する被告人に対して刑法の大原則である不拘束裁判の原則を考慮する必要があるとの意見も示した。
ただし、ナム・ギュソン(南奎先)常任委員、ウォン・ミンギョン(元玟京)、ソ・ラミ(蘇羅美)非常任委員は決定文に対し、「非常戒厳宣言当時、韓国は戦時・事変またはそれに準ずる国家非常事態において軍隊を動員する必要がある状況ではなかった」とし、「非常戒厳宣言は実体的、手続き的要件を満たさない違憲・違法な措置」との反対意見を述べた。
また、「国会の弾劾訴追決議権は憲法第65条に基づく正当な権限行使であり、弾劾の是非は憲法裁判所が判断すべき事項であって、独立した国家人権機関である人権委がその適切性を判断するのは適切ではない」と指摘した。
キム・ヨンジク(金容直)非常任委員も反対意見の中で、「大統領が社会的弱者であるとは考えにくく、多くの弁護士が選任された大統領の防御権保障のために人権委が動くというのは想定しづらい」とし、「(賛成側の委員たちが)戒厳令が間違っているとしながら、戒厳行為自体に対する批判なしに戒厳を宣言した大統領の防御権を保障すべきだと主張するのは、バランスを欠いたものと受け取らざるを得ない」と述べた。
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