憲法裁判所=(聯合ニュース)
憲法裁判所=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国の与野党が次期大統領選に向け、動きを活発化させている。

 尹錫悦(ユン・ソクヨル)大統領の罷免の是非を判断する弾劾審判をめぐり、憲法裁判所は25日に双方の最終弁論と当事者の意見陳述を行うことを決めている。宣告は3月11日前後になるとみられ、罷免が決まれば、次期大統領を選ぶ選挙は規定の60日以内となる5月中に実施されることになる。

 政界はしばらく尹大統領の罷免を想定した「大統領選の前哨戦」のムードになるとみられ、すでに次期大統領選に向けた与野党の激しい駆け引きが繰り広げられている。

 「弾劾反対」の立場を示す保守系与党「国民の力」は依然、早期に次期大統領選が行われる可能性を否定しているが、水面下ではその可能性を念頭に置いた動きをみせている。

 与党執行部は野党の有力な次期大統領候補である「共に民主党」の李在明(イ・ジェミョン)代表に対する攻勢を強めている。李氏が公職選挙法違反などに問われ複数の刑事裁判を受けていることなどを材料に「反李在明」ムードを高め、政権維持に向けた支持確保に力を入れている。

 また政府と相次いで「政府・与党間協議会」を開き、政策を打ち出すというイメージを演出し、中道層に「ラブコール」を送っている。

 国民の力の次期大統領候補らの動きも活発化している。

 金文洙(キム・ムンス)雇用労働部長官、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長が国会、メディアとの接触を増やす中、韓東勲(ハン・ドンフン)前代表は26日、著書を発刊して政治活動を再開する。

 同党の関係者は23日、「支持層の『弾劾反対』世論が根強い状況で、早期の大統領選に備えた与党の動きは限定的にならざるを得ない。弾劾審判の宣告までは李在明勢力の非道な行為を知らしめ、国民生活の懸案に注力する与党本来の役割を果たしていく」と話した。

 一方、最大野党の共に民主党は「違憲的な非常戒厳」を宣言したとして、尹大統領の罷免と政権交代に向けた世論戦を展開している。

 22日には憲法裁判所の前で集会を開き、改めて尹大統領の罷免を求めた。

 弾劾に反対する国民の力に対しては「内乱擁護政党」「極右政党」と、連日非難のトーンを強めている。

 1919年の三・一独立運動の記念日となる3月1日には、祖国革新党、進歩党、基本所得党、社会民主党と共に、弾劾と政権交代を求める集会を開催する。

 共に民主党は中道・保守層への攻略にも全力を傾けている。

 とりわけ、大統領選などで勝敗を分けてきた中道層が民主党の支持に転じるよう力を入れている。

 野党の有力な次期大統領候補の李代表はここ最近、経済成長と減税政策、企業向けの政策などを提案するなど保守寄りの動きを見せ、党のアイデンティティーは「進歩(革新)」ではなく「中道・保守」と主張している。

 共に民主党の関係者は「尹大統領が罷免となり5月中旬に大統領選が行われる可能性が100%。しかし、その時まで気を緩めず、非常戒厳の違憲性を喚起するとともに、政権交代の世論を広げることに集中すべき」と話した。


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