弾劾審判の初期には尹大統領による昨年12月3日の「非常戒厳」宣言の違憲・違法性が重大として罷免の可能性を指摘する見解が多かったが、現在は弾劾訴追が棄却・却下されるべきという見解が増えている。
違憲・違法性が大きいと見る側は尹大統領が戦時・事変に準じない状況で非常戒厳を宣言して国会に軍を投入し、令状なしに中央選挙管理委員会を家宅捜索したことが憲法と法律に反すると主張する。ソウル大法学専門大学院の尹眞秀(ユン・ジンス)名誉教授は自身のSNSに「憲法で定められた非常戒厳の要件に合致せずに非常戒厳を宣言し、大統領が承認した布告令で国会の政治活動を禁止しただけでも弾劾の理由は十分だ」とし、「憲法裁は弾劾を認めると思われる」と書き込んだ。また、「気になるのは(裁判官8人)全員一致の意見が出るかどうかだが、その可能性が高い」との考えを示した。同大学院の韓寅燮(ハン・インソプ)教授も全員一致で罷免された朴槿恵(パク・クネ)元大統領のケースを取り上げ、「3月7日か11日に決定が出るかも(しれない)。結論も(朴氏の際と)違わないと予想」とSNSにつづった。
尹大統領の罷免には裁判官6人以上が賛成する必要がある。罷免の決定が出ても全員一致か、意見が分かれたかで政界や社会に与える影響が異なるとみられる。
一方、弾劾審判の弁論でさまざまな争点が浮き彫りになり、尹大統領側が一部の証人の供述や証拠の信ぴょう性を問題視したため、弾劾訴追が棄却・却下される可能性を指摘する見方もある。中央大法学専門大学院の李仁皓(イ・インホ)教授はSNSに「戒厳軍が出動したが国会の議決を妨害しなかったほか、国会議員や国会公務員、市民を逮捕したことはなく、戒厳の施行過程で負傷した人もいない。国民の基本権侵害と言えるようなものは何もなかった。 そして国会の統制権は適切にそして完全に行使された」とし、「大統領と国会が交わした高度な政治行為に対して司法部が介入する余地はないと見なければならない」との見解を示した。慶熙大法学専門大学院の許営(ホ・ヨン)碩座教授は「憲法裁は即時に尹大統領の弾劾を棄却すべきだ」と求めた学界・法曹界関係者100人による声明に名を連ねた。許氏はメディアとのインタビューで、憲法裁の裁判進行に手続き上の問題があると批判してきた。
賛成4人・反対4人または賛成5人・反対3人で棄却されるとの見方も一部から出ている。
決定が下される時期にも注目が集まる。文炯培(ムン・ヒョンベ)憲法裁所長権限代行は尹大統領の弾劾訴追案が憲法裁に提出された昨年12月14日、「迅速かつ公正な裁判を行う」と述べていた。憲法裁は1週間に2回ずつ弁論を開いており、評議も迅速に行うとの見方が多い。朴元大統領と盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領の弾劾審判の結論が最終弁論から約2週間後の金曜日に言い渡されており、3月14日ごろに決定が下される可能性がある。裁判官の意見が合致する場合、早ければ3月7日ごろに決定が言い渡される可能性もある。
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