憲法裁は、崔氏が馬氏を憲法裁判官に任命しなかったことは、憲法によって禹氏に付与された憲法裁判官選出による憲法裁判所の構成権を侵害するものだと説明した。
これに先立ち、国会は鄭桂先(チョン・ゲソン)、馬恩赫、趙漢暢(チョ・ハンチャン)の3人の憲法裁判官候補者を選出したが、崔氏は鄭氏と趙氏のみを任命し、馬氏については与野党の合意が確認できなかったとして任命を保留した。
禹氏は、崔氏が国会が選出した3人のうち2人だけを任命したのは国会の憲法裁構成権と裁判官選出権を侵害するものだとして、先月3日に権限争議審判を請求した。
憲法裁は、3人が憲法と憲法裁法で定めた資格要件を備え、選出過程で議会民主主義を原則とする憲法や国会法などの法律に違反していない以上、崔氏は3人を裁判官に任命して裁判官の空席状態を解消する具体的な作為義務を負うと判断した。これにより、崔氏には馬氏を裁判官に任命する法律上の義務が生じる。
一方で憲法裁は、「請求人(禹氏)は馬氏が裁判官の地位にあることを確認したり、被請求人(崔氏)が馬氏を直ちに裁判官に任命しなければならないと決定するよう求めているが、このような請求は憲法裁に対し馬氏に裁判官という法的地位を付与する決定を求めていると理解できる」と指摘。「憲法裁が権限侵害の確認を超えて一定の法的関係を形成できるようにする決定が可能であるという憲法と憲法裁法上の根拠がないため、権限争議審判の対象にはなり得ず、不適法だ」とし、憲法裁が崔氏に対し馬氏を任命するよう直接命令したり、馬氏が裁判官の地位を得たと認めたりすることはできないとした。
権限争議審判は、国家機関の間で権限の有無やその範囲を巡り争いが生じた場合に憲法裁が判断を下すもの。憲法裁は昨年10月に裁判官3人が退任して以来、6~8人の裁判官による臨時体制で運営してきた。今回の判断によっては、憲法裁が本来の9人体制となり、先ごろ結審した尹大統領の弾劾審判の弁論が再開されるとの可能性も指摘されていた。
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