<W解説>中国政府が取ってきた韓流文化の流入制限する「限韓令」、5月にも解除か=韓国で期待高まる
<W解説>中国政府が取ってきた韓流文化の流入制限する「限韓令」、5月にも解除か=韓国で期待高まる
K-POPや韓国ドラマ、映画など、韓流文化の流入を制限する「限韓令」を実施してきた中国政府が、早ければ5月にもこれを解除する可能性が出てきた。中国政府による「限韓令」は韓国経済への深刻な打撃が指摘されており、韓国政府は2016年夏以来、約9年ぶりの解除に期待を寄せている。

中国は、韓国と米国が2016年、米国の最新鋭地上配備型迎撃ミサイル「高硬度防衛ミサイル(THAAD)」の韓国配備に合意したことに反発し、同年、韓流コンテンツの流通を制限する「限韓令」を発令。中国の映画館や動画配信サービスなどで韓国映画の上映を禁止したほか、韓国の大衆文化の輸入や韓流スターの中国での活動などを不許可とした。THAAD配備に反対した中国による事実上の報復措置とされているが、中国政府は防韓令そのものの存在について公式には認めていない。

しかし、2021年12月、韓国映画「オ!ムニ」が中国で公開。2022年11月にはオンライン動画配信サービス(OTT)でも韓国映画の上映が再開された。ドラマやゲームなどの制限も順次、解除されたことから、一時、「限韓令」は解かれたとの見方も出ていた。

だが、その後も、中国のバラエティ番組にゲスト出演する予定だった韓流スターが突如キャンセルとなったり、韓国最大のポータルサイト「NAVER」に中国からアクセスできなくなったりするなど、依然、「限韓令」が施行中であることをうかがわせる事象が相次いだ。

中国政府は認めてはいないものの、「限韓令」が敷かれているとみられる背景には、中韓関係の悪化が影響しているとの見方があるほか、習近平指導部が中国の自国の文化を重視する中、韓流スターの応援に多額の金を費やす中国人ファンの推し活の過熱ぶりを問題視し、中国国内にマイナスの影響を与えかねないと危惧(きぐ)したためとみる向きもある。2016年の発令以降、中国大陸では大規模なK-POP公演は許可されていない。

だが、実際には完全に規制することは困難で、現在もインターネット上の海賊版を通じて韓流人気は拡大している。

こうした中、聯合ニュースなど韓国メディアは、「限韓令」が、早ければ5月にも解除される可能性があることを伝えた。聯合は「今年後半に、韓国南東部・キョンジュ(慶州)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に中国の習近平国家主席が出席するとの見方が強まり、同氏の来韓を機に限韓令が解除されるとの期待が高まっている」と伝えた。

また、中央日報は、中国商務部がこのほど発表した今年1月の外国人投資額が、前年同月比13.4%減少したほか、昨年の外資規模も前年比27.1%減となり、「外国企業の『脱中国』の傾向がはっきりした」と指摘。その上で「中国政府は外資離れが深刻だと判断し、10日に審議議決した『2025年外国人投資安定行動計画』(通信・医療・教育などの分野での開放を拡大する内容をまとめている)の全文(20条項)を公開した。ここに、文化産業開放の基調が盛り込まれ、限韓令解除への期待も高まっている」と伝えた。

さらに同紙は、習氏が7日、ウ・ウォンシク韓国国会議長に会い、「人文交流を増進し、国民間の友好感情を強化しなければならない」と述べたことも「肯定的に解釈される部分だ」と指摘した。

こうした報道に、韓国のエンターテインメント銘柄が20日、上昇した。韓国経済によると、KB証券のチェ・ヨンヒョン研究員は同紙の取材に「限韓令解除で最大の恩恵を受けるのは中国公演が可能になる韓国のエンターテインメントセクターだ」と話した。

韓国の公共放送KBSによると、韓国外交部(外務省に相当)の当局者は同日、「限韓令」解除の可能性が高まっていることを伝える報道に対し、「政府は機会あるごとに中国側に文化コンテンツを含む両国間の文化交流の重要性を強調し、交流拡大の必要性を示し続けてきた。両国間の文化コンテンツの交流を一層活性化するため、引き続き積極的に努力する」と述べた。
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