中国は、日本や米国との連携を強める韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)政権の外交政策に不満を抱き、中韓関係はぎくしゃくしてきた。だが、昨年11月、尹大統領はアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に出席するために訪れたペルー・リマで中国の習近平国家主席と首脳会談を行った。両首脳が会談するのは2022年11月以来、2年ぶりのことだった。当時の会談で尹氏は、北朝鮮がロシアとの軍事協力を強めていることや、軍事挑発を繰り返していることが朝鮮半島情勢を不安定にしていると指摘。中国が建設的な役割を果たすよう求めた。また、中韓関係について、これまで中心となってきた経済分野のみならず、人的交流面での協力強化も呼び掛けた。これに対し習氏は、中韓両国が健全で安定した関係発展を促進し、地域の安定と繁栄に貢献すべきだとの考えを示した。また、習氏は尹氏に対し訪中を要請した。
北朝鮮とロシアが軍事協力を強めていることや、今年1月に米国で第2次トランプ政権が発足するなど、急変する国際情勢の中、韓国は朝鮮半島の平和のために「中国レバレッジ(小さな力で大きなものを動かす仕組み)」を積極的に活用する高度な外交戦略が求められてきた。
しかし、昨年12月、尹氏が「非常戒厳」を宣言したことを受け、国内の政治は不安定となり、混乱した状況は現在も続いている。「共に民主党」など野党は、尹氏が「憲法秩序の中断を図り、永続的な権力の奪取を企てる内乱未遂を犯した」などとして憲法違反を指摘し、尹氏の弾劾訴追案を国会に提出。昨年12月、採決が行われ、賛成204票、反対85票で同案は可決した。これを受け、尹氏は職務停止となり、現在、チェ・サンモク副首相兼企画財政相が大統領の権限を代行している。
韓国のチョ・テヨル外交部長官(外相)は昨年12月、中国の王毅外相と電話会談し、韓国の政治情勢について説明。中国との協力方針は変わらないとの考えを示した。これに対し王氏は、韓国の国内情勢の変化を認識していると言明。その上で、中国は「内政不干渉」の原則を堅持していると前置きし、韓国国民は自国の問題を適切に処理する「知恵と能力」を兼ね備えていると確信していると述べた。
韓国国内の情勢について習政権は表向き、態度表明を避けているが、今後、仮に尹氏が罷免され、韓国で大統領選が行われることになった場合、対中親和的な政権が誕生することを望んでいるとの見方もある。
こうした中、日中韓3か国は、今月22日に外相会談を東京で開く方向で調整を進めているとされる。日中韓外相会談は2023年11月に韓国・釜山で開催されて以来、行われていない。開催されれば、年内に日本で行われる見通しの3か国首脳会談などについて議論されるものとみられる。
また、聯合ニュースは「会談に合わせ、韓中外相会談も開かれる見通しだ」と伝えた。実現すれば、昨年9月に米ニューヨークで会談して以来となる。聯合は「会談では、トランプ米政権の中国へのけん制についてどのような意見が交わされるか注目される」とした。また、「韓国内で一部の保守勢力を中心に対中感情が悪化していることや、10月末に韓国・キョンジュ(慶州)で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会議に合わせた習国家主席の訪韓、両国の文化交流などについても議論するとみられる」と伝えた。
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