地下鉄を利用する高齢者(資料写真)=(聯合ニュース)
地下鉄を利用する高齢者(資料写真)=(聯合ニュース)
【ソウル聯合ニュース】韓国で65歳以上の高齢者に対して地下鉄の運賃を無料とする制度について、ソウル市民の約6割が対象年齢を引き上げるべきと考え、「70歳以上」が適正とする意見が多いことが分かった。

 ソウル市議会が5日開催した高齢者の無料乗車に関する討論会で尹永熙(ユン・ヨンヒ)市議会議員が公表したアンケート調査によると、対象年齢の引き上げに賛成する人は64%で、「分からない」は19%、反対は17%だった。

 調査はソウルで暮らす満19歳以上の成人1144人を対象に昨年12月11~15日に行われた。回答者の年代は50代が18.4%で最も多く、30代(17.7%)、40代(17.2%)、20代(16.3%)、60代(16.3%)、70代(9.4%)、80代以上(4.8%)の順に多かった。

 このうち無料乗車の対象者は283人(24.7%)、非対象者は861人(75.3%)だった。

 年齢の引き上げに賛成する理由としては、「未来世代の負担が大きくなる」(39%)、「社会的認識の変化」(37%)、「地下鉄のない地域の高齢者との不平等」(24%)などが挙がった。

 引き上げる場合の対象年齢は「70歳」以上が76%で最も多かった。「68歳」11%、「66歳」6%、「67歳」5%、「69歳」2%と続いた。

 尹氏は回答者の多くが無料乗車の対象者の年齢引き上げに賛同したとし、「70歳を基準に段階的に引き上げれば社会的なあつれきを緩和できるだろう」と提言した。

 討論会では無料乗車の対象者の年齢引き上げについて、地下鉄の赤字負担を高齢者に転嫁するものであり、慎重に行う必要があるとする意見や、基本権である移動権保障のために政府が財政支援をしなければならないという意見などが出た。

 大韓老人会ソウル市連合会の事務局長は「地下鉄の赤字の原因は(高齢者の)無料乗車ではない」とし、会社員の定年引き上げや年金改革など社会的な議論が進められている状況であり、ソウル市は先んじて引き上げることをせずに、議論の行方を見極めてから結論を出してほしいと要請した。

 ソウル交通公社の経営支援室長は「昨年基準で無料乗車の数は全体の約17%となる1日751万人で、これによる損失額は年間4000億ウォン(約410億円)程度」とし、損失額の増加は構造的な赤字を引き起こし、安全対策への投資が遅れるなどの問題につながると指摘した。

 ソウル市の都市鉄道課長は「移動権というのは社会経済的に様々な価値を持つため、国の基本的なサービスという観点から国費支援が共になされなければならない」と強調した。


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