韓国の沖合で獲れる主要な水産物が減り続けるとの予想が支配的で、今後も海産物の価格が上昇する公算が大きい。これまで国内需要を満たすために輸入されてきたイカなどの価格もますます上昇しており、専門家らは気候変動に対応するために漁獲量をコントロールすることが必要だと助言している。
海洋水産部が発表した「2024年水産物生産量統計」によると、昨年のイカの漁獲量は1年前より42.1%減少した1万3546トンだった。この漁獲量は統計開始以来最も少ない水準だ。2015年にはイカの漁獲量は15万5743トンだったが、10年間で10分の1に減少した。
日本海沿岸の代表魚種であるイカは、日本海の水温が2度から4度ほど上昇したことで少なくなっていると推定されている。海水温の変化によってイカだけでなくサバ(マイナス17.4%)や太刀魚(マイナス26.6%)などの漁獲量も減少した。このように主要な魚種の漁獲量が減少し、昨年の近海で穫れる水産物の漁獲量は前の年に比べて11.6%減の84万1000トンにとどまった。これは1971年以降で最も少ない数値だ。
現在、イカは国内産イカの品薄現象によって価格が高騰している。韓国農水産食品流通公社(aT)によると、6日時点での近海産の冷蔵イカは1杯9309ウォン(約952円)で、1年前に比べて2.4%、平年に比べて18.5%値上がりした。サバ1匹の価格も1年前に比べて46.5%上昇した。これらの品目は価格上昇が続いており、物価全体にも影響を与えている。この日に発表された「2月消費者物価動向」によると、果物や野菜などの農産物は価格が下落したが、水産物の価格は消費者物価上昇率(2%)を上回っていることが分かった。
海洋水産部はイカやサバ、カタクチイワシなどの消費が多い品目を「大衆魚種」に分類し、価格をコントロールすることを決めた。特にイカの価格を抑えるため、海洋水産部では昨年アルゼンチンのフォークランド海域などの遠洋での漁獲量を増やしてきた。この効果により、昨年のイカ類の漁獲高は6万3156トンと、1年前(3万1511トン)に比べて2倍に増えた。海洋水産部の関係者は「カツオなど他の遠洋魚種は缶詰に加工されたり一部が輸出されているが、遠洋で獲れたイカはほとんど全てが韓国国内で消費されている」と説明している。
問題は、国内産の代替品とされてきた遠洋イカの価格も上昇傾向にあるという点だ。6日時点の遠洋冷凍イカ1杯の価格は4427ウォン(約452円)と国内産の半額程度だが、1年前に比べて13.2%急騰している。
海洋水産部の関係者は「遠洋で獲れたイカもイカの需要増を受けて上がっている傾向にある」と語った。国内産イカがほとんど獲れない状況であるにもかかわらず、高い需要を維持しているせいで、価格上昇が避けられないとの説明だ。
このように海産物の価格は上昇を続けているが、漁獲量の見通しは明るくない。韓国海洋水産開発院(KMI)は、化石燃料の使用をともなった成長が続いた場合、2050年には近海漁業で穫れるほとんどの魚種の漁獲量が15%から60%減少すると予想している。イカはもちろん、イシモチやカタクチイワシ、ニシンなども減るものと予想されている。
海産物の価格コントロールはもちろん、漁業の持続可能性のためにも漁業の体系化が必要とされている状況だ。KMIのチョ・ホンジュ水産経営·資源研究室長は「魚がいなくなったり移動した場合、操業距離と燃料費の上昇につながる恐れがあり、海産物の価格上昇はもとより、近海の漁業環境自体が変わりかねない」と述べ、「持続可能な漁獲量の維持のために漁業従事者の経営安全網の拡充や、年金などを通じた漁業の廃業へと誘導する政策が必要だ」と強調している。
一方で海洋水産部は水産資源を管理するために漁獲量を決め、これを割り当てる総許容漁獲量(TAC)制度や、割り当てられた漁獲量を取り引きする譲渡性個別割当制(ITQ)などのテスト運用を行い、漁獲量を体系的にコントロールする方針だ。
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