韓国の気象庁によると、今年の夏が昨年より気温が高くなる確率は60%に達している。4月から11月までの8ヵ月間、月平均温度が10度を超え、昨年のように最高気温が40度に迫る猛暑が襲うとの予想も出ている。高くなる気温、長びく暑さに農村振興庁では2050年代にはカンウォンド(江原道)の高山地域でしかリンゴの栽培ができなくなるだろうとの暗い見通しが出ている。昨年の旧正月前にはリンゴ1個の価格が1万ウォン(約1008円)、梨の価格は1万2000ウォン(約1210円)まで高騰する「フルーツ・フレーション」に見舞われたが、リンゴや梨のような身近な果物の価格の暴騰は日常茶飯事になる公算が大きくなっている。白菜や大根のような野菜も同様だ。
それでは、私たちは今後どのようなものを食べるべきだろうか。農村振興庁傘下の温暖化対応農業研究所では、亜熱帯気候に近づく朝鮮半島で育てることができる代替果物・野菜を研究して試験栽培を行っている。亜熱帯の果物と野菜それぞれ10種を選定し、韓国国内でも円滑に栽培できるよう集中支援を行い、食糧供給を多角化して食糧危機に対応するためだ。
果物の場合、マンゴー、パッションフルーツ、バナナ、パパイヤ、オリーブなどの品種を育成し、気候への適応性の評価や栽培技術の試験・研究を行っている。マンゴーは2014年に約1万トンが輸入されたが、2023年には約2万7000トンに輸入量が増え、2024年には10月までに約3万1000トンが輸入されるほど韓国国内で人気が高い。しかしこれらをすべて輸入のみに頼るわけにはいかないため、研究所が先頭に立ってアップルマンゴーの国内栽培を拡大している。
研究所の関係者は「輸入マンゴーが東南アジアの現地のものと味が違うのは、害虫被害を防ぐために輸入前に60度の湯に浸したりスチーム処理を行い防虫するため」語り、「韓国国内で栽培したアップルマンゴーはそのようなプロセスが不要な上、味も差別化し高級果物、贈り物用果物という認識が定着すれば農家の所得増にも寄与する」と説明している。
実際にマンゴーを栽培する農家は増え続けている。研究所によると、亜熱帯の果物の栽培面積は2018年の117ヘクタールから2023年には221ヘクタールに、栽培農家数は同じ期間に426世帯から707世帯に増加した。そのうち、マンゴーを栽培する農家が319世帯で最も多く、パッションフルーツを栽培する農家が144世帯、バナナを栽培する農家が67世帯などだ。
亜熱帯の野菜は「沖縄地域の長寿の秘訣」で有名なゴーヤを栽培する農家が260世帯あり、全体(644世帯)の約40%を占める。カレーの材料であるウコンは177世帯で栽培中だ。
研究所では品種開発が続けられている。アップルマンゴーは糖度が高く広い収穫期で栽培が可能なアルフォンソやピッカリングのような品種を試験栽培している。病虫害が少なく、安定した生産ができる栽培技術も開発中だ。
しかし、ただちに栽培農家を大幅に増やすためには越えなければならない障壁もある。ほとんどの品種はまだ温室でしか栽培できないなどの制約があるため、暖房費などを節減する必要がある。
研究所の関係者は「今よりさらに朝鮮半島の気温が上昇して既存の作物の栽培地域が減った時に備え、新しい品種や技術を開発中」と述べ、「気温が上昇し、温室ではない自然環境下で栽培できる日が来れば、これまでのリンゴや梨のように安い価格で亜熱帯の果物や野菜を味わえることになるだろう」と語った。さらに「気候変動は諸刃の剣だ」とも述べ、「危機意識は確かにあるが、これをプラスの機会にするために努力している」と付け加えた。
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