脱北者団体などによると、議政府地裁の高陽支部は先月11日、外国為替取引法違反の罪に問われた脱北者A氏に対し、執行猶予付きの罰金100万ウォン(約10万円)の有罪判決を言い渡した。警察の捜査によると、A氏は別の脱北者の北朝鮮家族への送金を手伝うため、2021年11~12月に計11回(送金金額は計2425万ウォン)にわたり自身と中国の知人の銀行口座を利用させた。A氏の弁護士の柳旭(リュ・ウク)氏は聯合ニュースの取材に対し、「裁判所がA氏を実質的に処罰しなかったことは幸い」としながらも、「警察が非人道的という指摘を受け入れて自ら捜査を打ち切っただけに、既に起訴された脱北者に対しても罪を問わないことが妥当だ」と主張した。A氏は判決を不服として控訴した。
また、外国為替取引法違反の罪に問われた別の脱北者も昨年7月、罰金200万ウォンの略式命令が確定した。
多くの脱北者は機会があるたびに北朝鮮に残してきた家族に数百万ウォンを送金するという。送金は複数のブローカーを経て行われ、脱北者は送金額の40~50%に達する高率の手数料を負担する。
一般的に北朝鮮への送金は脱北者が国内のブローカーのウォン建て口座に送金→国内のブローカーが中国ブローカーのウォン建て口座に送金→中国ブローカーが人民元に両替し北朝鮮側のブローカーに送金→北朝鮮家族に伝達――の順で行われる。
脱北者によると、中国側のブローカーが脱北者のお金を北朝鮮に伝達したことが明らかになることを望まず、正式な外国為替の送金を受けないため、合法的な送金は不可能という。
韓国の歴代政権は外国為替取引法違反に当たることを知りながらも人道的な観点から北朝鮮家族への送金を黙認してきた。北朝鮮にいる家族の生計が苦しいのに合法的に送金する方法が事実上なく、送金額も多くないためだ。
だが、2023年、全国で北朝鮮への送金に関する捜査が突然行われた。行き過ぎた捜査という指摘が相次ぎ、警察は工作活動の疑いがない送金に関する捜査を打ち切った。
柳氏は「A氏の事件は2023年に警察が同時多発的な捜査を行ってから判決が出た初めての事例」として、「控訴審と別の脱北者の裁判ではより前向きな裁判所の判断を期待する」と述べた。
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