「病院前で2時間待機し出産した子どもを取り上げた」…チョッキを脱いだ救急隊員の言葉=韓国
「病院前で2時間待機し出産した子どもを取り上げた」…チョッキを脱いだ救急隊員の言葉=韓国
「病院の応急室の前で2時間待機した後、われわれ救急隊員が子どもを取り上げた。恥ずかしいのではなく誇らしい」

全国公務員労働組合と書かれたチョッキを脱いだ119救急隊員が国会の記者会見で言った言葉だ。

16日にインチョン(仁川)国際空港で倒れた外国人の妊婦が2時間以上、受け入れ可能な産婦人科を探した後、救急車の中で出産した。仁川・キョンギ(京畿)一帯の12か所の病院は全て「産科の受け入れはできない」、「産科の診療は難しい」などの理由で妊婦の受け入れを拒否した。

全国公務員労組ソウル消防支部のキム・ソンヒョン救急局長は17日、国会議員会館で開かれた記者会見で自らを「現在、救急隊員」だと紹介し、「われわれは今、労組の名義を借りて来た。われわれは昨年、『救急救命室たらいまわし問題』が起きてから誤った伝達を防止するため、労組のチョッキを必ず着て参加するよう指示された」と述べた。

また、「しかし私が思うには、歪曲(わいきょく)が生じる可能性がある。われわれは市民が通報すれば駆け付ける119救急隊員だ。だから私は今、このチョッキを脱ぎ、救急隊員の立場でこの場に立つ」と付け加えた。

キム局長を含む119救急隊員らは「医政対立」を1年以上経験し、たらい回しの状況はより悪化したと伝えた。

キム局長は、「最近、救急救命室の『過負荷』により発生するたらい回し問題が続いているにもかかわらず、根本的な解決策は講じられずにいる」とし、「その結果、救急患者を迅速に病院に搬送すべき119救急隊の医療機関受け入れ拒否は変わらず、受け入れ先を探すためあちこちの病院を転々とする現実が続いている」と述べた。

そして、「ことし2月に報道されたテグ(大邱)で額に裂傷を負った患者が受け入れ先の病院を見つけられず、治療時期を逃し死亡した事件、3月に会食後に帰宅していた男性が転落により頭を負傷したもののの、受け入れ先の病院がなく帰宅し、結局状態が悪化した事件などは一部の事例に過ぎない」とし、「現在、都心地域の119救急隊はこのような出動を1日に何件も経験している」と伝えた。

キム局長は、「救急患者の治療遅延に対する責任が救急隊に転嫁される事態まで発生している」とし、「救急隊員らは疲れ果て、患者を適切な病院に搬送できない状況が繰り返されることで大きな罪悪感とストレス(を感じており)、心身共に傷ばかりが増えていく」と訴えた。

ただ、この状況が専攻医(研修医)の辞職だけによるものではないとし、病院の救急医療能力の評価を強化し、119救急隊の患者受け入れ率などを反映するなど、救急医療体系を整備すべきだと促した。
Copyrights(C) Edaily wowkorea.jp 85