在韓米軍の撤退と連邦制統一を主張する活動を展開し、敵を利する表現物を頒布した高校教師に対して、最高裁が国家保安法違反を最終認定した。

最高裁は19日、国家保安法違反(賞賛・鼓舞)の疑いで起訴されたA被告の上告審を棄却し、懲役10カ月、執行猶予2年および資格停止1年を言い渡した原審を確定したと明らかにした。

A被告は2001年の3月頃から高校および中学校の歴史の授業を担当する期間制教師として、2013年の3月からはグンポ(軍浦)市の高校で韓国史の授業を担当する期間制教師として勤務していた。検察はA被告が2009年以降反国家団体として北朝鮮の活動を称賛・鼓舞したり同調する行為を目的とした団体Bの活動に参加していたとみて、A被告を起訴した。

団体Bは2000年の6月15日の南北首脳会談後、「連邦制の統一」を推進するために組織された団体で、在韓米軍の撤退、国家保安法の廃止などを先決条件とした連邦制の統一を主張してきた。A被告は2007年の3月から2010年の5月頃まで、同団体が主催する定期集会に6回参加し、他の会員らと共謀して連邦制の統一および在韓米軍撤退主張定期集会を主催した。また、自宅のパソコンからこの団体のホームページに在韓米軍撤退、国家情報院解体など、北朝鮮の主張に同調する文章を掲載した疑いで起訴された。

1審はA被告に対し懲役1年、執行猶予2年および資格停止1年を言い渡した。裁判ではA被告が敵を利する団体の定期集会に参加し、ホームページを開設・管理していた点、敵を利する表現物を掲載していた点などを国家保安法違反と判断した。ただし、これまで同種の犯罪の処罰事例がなく、利敵団体に関係した活動期間が相対的に短い点などを考慮した。

2審は原審を破棄し、A被告に対し懲役10ヵ月、執行猶予2年および資格停止1年を言い渡した。2審は起訴事実の中で利敵表現物の「所持」による国家保安法違反は他に証明する証拠がなく無罪と判断し、残りの起訴事実に対しては有罪を認めた。特に「被告の行為が国家の存立・安全や自由民主的な基本秩序を危険にさらす実質的な危険性があった」と判断した。さらに2審では、A被告が提起した国家保安法が違憲だとの審判を行う申請に対しても理由がないとして棄却した。さらに「被告の表現の自由を侵害しているとの主張なども受け入れ難い」と判示した。

最高裁は原審の判断を受け入れ、A被告の上告を棄却した。最高裁は「原審の判断に必要な審理を全うしないまま論理と経験の法則に違反したり、証拠能力や国家保安法違反罪の成立に関する法理を誤解し、判決に影響を及ぼした誤りはない」として上告棄却理由を説明した。

今回の判決では、裁判所は表現の自由と国家安保の均衡点を提示し、国家保安法上の処罰対象になる行為は国家の存立・安全や自由民主的な基本秩序に実質的な害悪を与える明白な危険性がある場合に制限されるとの法理を再確認した。2014年の4月の最高裁判決では、団体Bの利敵団体性の有無をすでに判示しており、その法理がそのまま適用された。
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