米ジョージア州で稼働を開始した現代自動車の新工場の様子(写真=現代自動車グループ)
米ジョージア州で稼働を開始した現代自動車の新工場の様子(写真=現代自動車グループ)
トランプ米大統領の追加関税賦課により、韓国国内の企業の緊張が高まっている。特に鉄鋼、半導体、自動車などの品目別の関税と、相互の関税負担を同時に受ける産業の場合、信用等級が引き下げられる懸念が出ている。

トランプ政権は来月の2日(現地時間)から全世界を対象にした相互関税を発表する予定だ。これとは別に、自動車や半導体など一部の産業には25%の追加関税が課せられる見通しだ。

韓国は対外貿易依存度が90%に達している。トランプ大統領の1期目政権の時にも米国の貿易規制強化により対米貿易収支の黒字幅が急減した。トランプ政権が検討中の大幅な関税賦課が行われた場合、韓国の主要な輸出産業全般がマイナスの影響を受けることが避けられないと分析されている。

トランプ大統領は就任初日、カナダとメキシコからの輸入品に25%の関税を課す行政命令に署名したが、その後1ヶ月間関税賦課を猶予している。カナダとメキシコに現地工場を持つ国内企業がトランプ政権により関税賦課の影響を受ける初めての事例になるものと見られている。

企業分析を専門に行う韓国CXO研究所によると、現在韓国の大企業のうち25グループが合計201か所(カナダ110か所・メキシコ91か所)で現地法人を設立していることが分かった。グループ別ではサムスン(68か所、カナダ50か所・メキシコ18か所)とヒョンデ(現代)自動車グループ(28か所、カナダ12か所・メキシコ16か所)が最も多く海外法人を置いているものと集計された。

韓国投資証券のキム・ギミョン研究員は「トランプ大統領による関税賦課措置が単純な交渉用ではなく実現される可能性が高い政策であることを勘案すると、国内企業の負担が増すことは避けられない」と述べて「メキシコとカナダで現地生産を行っている企業が大きな影響を受けることは不可避だ」と指摘した。

さらに「『相互関税』の負担を抱える鉄鋼、自動車、半導体産業への打撃が大きい可能性がある」と述べて「信用等級の観点では、基本的にトランプ大統領による関税賦課の影響が大きい業種の場合、信用等級が引き下げられる可能性があるが、それぞれの業種の特性と個別企業の財務安定性の度合いなどにより、企業ごとに差別化される」と付け加えた。

鉄鋼業については、格付け会社のスタンダード&プアーズ(S&P)が真っ先に懸念の声を上げた。国内の鉄鋼業者はこれまで一定割当内で関税免除を受ける恩恵を受けてきたが、この措置が終了した場合関税免除の恩恵を受けられなかったライバル企業に比べて競争力が弱まる可能性が高いためだ。

実際にS&Pはポスコ(POSCO)ホールディングス、ポスコ、ポスコインターナショナルに対する信用格付けの見通しを「否定的」に下方修正した。これには鉄鋼産業の慢性的な供給過剰、電気自動車バッテリー事業の損失、負債の増加などが反映されている。米国の鉄鋼品に対する関税賦課と市場の需要に対する低い見通しも信用等級にはマイナス要因として作用している。

S&Pは「今回の関税が施行された場合、ポスコと現代製鉄に否定的な影響を及ぼすものと予想される」として「これら企業の米国への輸出高の割合は数パーセントに過ぎないが、これらの輸出高は他の地域に比べて販売価格と利益率が高いため」と明らかにした。

半導体業界の場合、ほとんどが米国以外の国に生産拠点を保有しており、大きな関税リスクを抱えている。

SKハイニックスに対しての関税措置が長期化した場合、価格競争力が低下しかねないとの懸念も出ている。ただし、実質的な信用等級の格下げの可能性は低いとみられている。

韓国信用評価は「(SKハイニックスは)米国内の製造拠点がなく、米国向け売上が占める割合が大きく、関税が賦課された場合の業績の低下は避けられない」としながらも、「関税リスクが現実になっても、業界のメモリー半導体のほとんどが米国以外の国で生産されており、価格競争力の低下幅が低い点など、事業競争力に及ぼす影響は少ないとみられ、信用等級に及ぼす影響は限定的」と評価した。

最後に、自動車業種では自動車メーカーよりも自動車部品メーカーの方が関税賦課の影響をより強く受けると分析されている。現代自動車やキア(起亜)自動車の場合、優秀な利益創出力を維持しているからだ。一方で国内の自動車部品メーカーは5パーセント未満の低い営業利益率が続いており、関税による負担を吸収する余力が不足している。

韓国信用評価は「現在25パーセントの関税賦課が予想されるメキシコとカナダ地域にある国内部品会社に従属する企業の2024年の第3四半期の累積売上額は約6兆ウォン(約6080億円)で、総売上額の6.5パーセントに達する」として、「このうちハンオンシステムと現代ウィアは米国内の売上が約10パーセントに達し、危険にさらされる度合いが高いことが分かった」と分析した。
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