<W解説>韓国・尹大統領の罷免の可否、またも持ち越される見込み=結論はいつ出るのか?
<W解説>韓国・尹大統領の罷免の可否、またも持ち越される見込み=結論はいつ出るのか?
韓国の憲法裁判所による、ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領の罷免の是非を判断する弾劾審判の宣告は来週以降に持ち越されることとなった。当初、有力視されていた今月14日の宣告はなく、その後、本日21日にも行われるとの見方が広がっていた。だが、通信社の聯合ニュースは19日夜、憲法裁がこの日の業務時間が終了する午後6時までに宣告日を発表しなかったと伝えた。通常、宣告の2~3日前に宣告日が通知されることから、聯合は「21日に宣告するには19日までに発表する必要があるため、事実上、決定が言い渡されるのは来週以降に持ち越されることになった」と報じた。

尹氏は昨年12月、国内に向けて「非常戒厳」を宣言した。非常戒厳は韓国憲法が定める戒厳令の一種。戦時や事変などの非常事態で、軍事上、必要となる場合や公共の秩序を維持するために大統領が発令するものだ。非常戒厳は早期に解かれたものの、韓国社会に混乱をきたし、現在も不安定な政治状況が続いている。

「共に民主党」など野党は、尹氏が「憲法秩序の中断を図り、永続的な権力の奪取を企てる内乱未遂を犯した」などとして憲法違反を指摘し、尹氏の弾劾訴追案を国会に提出した。昨年12月、採決が行われ、同案は可決。これを受け、尹氏は職務停止となり、現在、チェ・サンモク経済副首相兼企画財政部長官が大統領の権限を代行している。

同案の可決を受け、憲法裁が6か月以内に尹氏を罷免するか、復職させるかを決めることになった。罷免となった場合は、60日以内に大統領選挙が行われる。

憲法裁では1月から弁論が行われてきた。弾劾審判では、戒厳令の正当性が争点となり、国会訴追団側は、「非常戒厳」の宣言が、憲法77条が規定する「戦時・事変またはこれに準ずる国家非常事態」との要件を満たさず出されたことや、戒厳時に国会へ軍を動員し政治家らを逮捕しようとしたことなどが憲法違反だと主張した。一方、尹氏は審判に自ら出席し、「非常戒厳」の宣言は統治行為だったとして正当性を訴えた。

尹氏の弾劾審判は先月25日に結審し、尹氏の罷免の是非は憲法裁の判断に委ねられることとなった。憲法裁による宣告日について、韓国メディアの多くは当初、今月14日に行われる可能性が高いと報じてきた。憲法裁からは、予め宣告日の通知があるが、同日までに、その通知すらなく、宣告は持ち越されることになった。

14日の宣告が有力視されていたのは、過去に弾劾訴追されたノ・ムヒョン(盧武鉉)、パク・クネ(朴槿恵)両元大統領が、いずれも弾劾審判の最終弁論から約2週間後の金曜日が宣告日だったためだ。尹氏の弾劾審判が結審したのは先月25日で、今月14日は結審から約2週間後の金曜日だった。

その後、本日21日に宣告が行われるのではないかとの見方が広がったが、聯合ニュースは19日、「来週以降に持ち越されることになった」と伝えた。聯合は「宣告前後の安全確保のために警察やソウル市、区などと協議する時間が必要なため、宣告の2日前には各方面に通知する必要があるとされ、憲法裁が当日や前日に宣告する可能性が低いとみられている」と解説。「20~21日に宣告日の発表があれば、早ければ来週初めに、遅くとも27日までに決定が言い渡されるとみられる」と伝えた。また、公共放送KBSは、憲法裁の裁判官8人のうち、所長権限代行ら2人が来月18日に退任するため「少なくともその前には宣告が行われるものとみられる」と伝えた。

決定が遅れている理由について、聯合は「争点の細部に対する検討が終わっていないという見方や、『全員一致』の結論を出すため調整中との見方、決定文の内容を協議中との見方など、評議内容の公開が禁止されているため、憶測だけが飛び交っている」と伝えた。

宣告が遅れていることに、野党からは批判が出ており、「共に民主党」のパク・チャンテ院内代表は「これほど引きずるべきことなのか。納得できる国民がどれほどいるのか非常に疑問だ。争点が複雑なわけでもなく、証拠も十分で、全国民が(非常戒厳が出された状況を)直に目撃し、事案も非常に重大だ」と指摘した。

憲法裁の前などでは弾劾の賛成派と反対派の双方によるデモが続いている。一部、ハンガーストライキや剃髪に乗り出す人もおり、混乱した状況は日に日にヒートアップしている。

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