3か国の外相会談は2023年11月に韓国のプサン(釜山)で開かれて以来。岩屋外相と韓国のチョ・テヨル外交部長官(外相)、中国の王毅・共産党政治局員兼外相が出席し、約1時間20分にわたって会談した。岩屋氏は冒頭、「国際情勢は厳しさを増し、歴史の転換点にある。対話と協調を通じて、分断と対立を乗り越える努力を行っていくことが今まで以上に重要だ」と述べた。3者は未来志向で、人的交流を通じた相互理解を促進し、経済や防災協力の強化、少子高齢化といった共通課題での協力を推進していくことで一致した。
この日、岩屋氏とチョ氏は個別会談も行った。韓国の通信社・聯合ニュースによると、チョ氏は記者団の取材に、会談では最近の日韓社会全般の両国関係発展の必要性に対する共通認識に基づき、さらに強化された協力を推進していくとの認識を共有したと述べた。また、韓国はユン・ソギョル(尹錫悦)大統領が昨年12月に「非常戒厳」を宣言したことを機に政治的混乱が続いているが、その混乱に関わらず、両国関係の基調を改めて確認するなど、韓国の民主主義に対して日本側の支持と信頼を確認したと述べた。
また、この日は、中韓外相会談も開かれた。聯合によると、両国間の文化交流の回復が国民同士の理解を含め、両国間の実質的な協力をさらに発展させる契機になるよう努力していくことで一致したという。中国政府はこれまでK-POPや韓国ドラマ、映画など、韓流文化の中国への流入を制限する「限韓令」を取ってきたが、早ければ5月にもこれを解除する可能性があるとの見方が出ている。この日の会談で、チョ、王両外相が文化交流の回復に意欲を示したしたことから、聯合は「今後の中国側の立場に前向きな変化があるかどうか注目される」と伝えた。
3か国外相会談後の共同記者会見で、岩屋氏は「日中韓の協力と、地域・国際情勢について、大局的な観点から率直な意見交換を行い、未来志向の協力を推進していくことを確認できた。きょうの成果を、次回の首脳会議につなげられるよう、引き続き、3か国で緊密に連携していきたい」と述べた。チョ氏は、朝鮮半島情勢に関連し「韓日中は朝鮮半島の平和と安定の維持が3か国共通の利益であり責任であることを確認した。北の核問題と朝鮮半島の平和安定の影響を受ける3か国の意思疎通が続くことを期待する」と述べた。また、王氏は「国際情勢がめまぐるしく変わり、世界経済の回復が力を欠く中、中国、日本、韓国は互いの意思疎通をさらに強化する必要性と責任があるという点で一致した」と述べた。
3外相は3か国首脳会談の早期開催に向けた作業を加速することでも一致した。日中韓首脳会談は昨年5月、約4年半ぶりに開かれた。当時の岸田文雄首相と中国の李強首相、韓国のユン・ソギョル(尹錫悦)大統領の3人は会談後、共同宣言を採択。日中韓首脳会談を今後、定期開催していくことや、経済・貿易など6分野で協力していくことを確認している。議長国は日本で、日本政府は当初、今年5月の開催を目指していた。しかし、韓国では、尹大統領が昨年12月に「非常戒厳」を宣言したことをきっかけに政治的混乱が生じ、不安定な状況が今なお続いている。尹氏の弾劾訴追案が国会で可決して尹氏は職務停止となり、大統領職は現在、チェ・サンモク経済副首相兼企画財政相が代行している。こうした状況もあり、3か国首脳会談が早期に実現するかは不透明となっている。
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