トランプ大統領は26日、ホワイトハウスの執務室で「輸入車に対し4月2日から25%の関税を課す」と明らかにし、「世界の自動車メーカーは米国に工場を建てることになる」と述べて、行政命令に署名した。鉄鋼、アルミニウムのほか、品目別の追加関税を発表したのだ。現代自動車グループがジョージア州エラベルに55億ドル(約8300億円)を投じて建設した「現代自動車グループメタプラントアメリカ」の竣工式が開かれた時間と同時だった。
トランプ大統領は断固とした口調で「我が国で事業を行い、私たちの雇用と富を奪った国家に対し費用を請求する」と述べ、「友人が敵よりはるかに悪い場合が多かった。そして今回の措置は非常におとなしいレベルだ」と述べた。さらに「自動車に対する関税は恒久的に適用される」と言及した。これは自動車関税が鉄鋼やアルミニウムへの関税のように交渉用のものではないと線を引いたものとみられている。
韓国の自動車の最大の輸出市場である米国がこのような措置に出れば、影響は避けられない。韓国貿易協会によると、2024年の韓国の対米自動車輸出額は347億4400万ドル(約5兆2400億円)で、韓国の自動車の海外輸出額のうちの49.1%を米国が占めた。米国に対しての自動車輸出台数は年々増え続けてきた。韓国モビリティ産業協会によると、韓国の対米自動車輸出台数は2020年の82万台から2024年には143万台に増加した。
シティグループの報告書によると、「米国は韓国の自動車メーカーの最大の輸出市場で、米国に乗用車を輸出する国の中で第4位」として、「韓国の自動車産業は鉄鋼、バッテリー、石油化学、電子など様々な産業と連携しているため、他産業への連鎖的影響が大きいだろう」と見通している。
米国への大規模な投資を断行した現代自動車グループも、今回のトランプ大統領の決定の影響から逃れられない。昨年の現代自動車とキア(起亜)自動車の米国への輸出台数はそれぞれ63万台、38万台で、合計101万台だった。現代自動車グループは今回の米国投資を通じて、年間30万台の生産が可能なジョージア州の新工場に加え20万台の生産が可能なラインを増設し、米国内での生産台数を年間120万台まで拡大する。単純計算で米国への輸出台数が年間約80万台に減ることになる。現代自動車グループはただちに米国内での生産設備を増やすことが難しいライバル企業よりは影響が少ないかもしれないが、年間輸出台数80万台に対し25%の関税が賦課されるのは大きな打撃だ。
シンヨン証券のムン・ヨングォン研究員は「自動車の生産と輸出に相当な影響があることは避けられない」と述べ、「特に米国での現地生産を増やすほど、国内工場の米国向け輸出台数の減少は避けられない」と分析している。
専門家らは「トランプ関税」の障壁を乗り越えるためには、安価で高品質な製品を提供できるかどうかに重点を置かなければならないとみている。このため、次世代の電気自動車への投資やデジタル化に向けた韓国国内の生産環境が改善されるよう、政策的支援が必要だと助言している。
産業研究院のチョ・チョル研究委員は「米国が輸入自動車に対し25%の関税を課しても、韓国国内での生産と輸出が不可能ではない。トランプ大統領は自動車の主要部品まで全て関税を課すとの立場なので、おそらく米国内の販売価格が少なくとも10%から15%程度上昇するだろう」と述べ、「販売価格を5%から10%下げるために、研究開発段階から生産まで積極的な政策支援が必要だ」と述べた。
さらにチョ研究委員は「世界の自動車業界のデジタル化の流れが韓国の自動車産業に対する脅威にもなるが、チャンスでもある」と述べ、「すべての自動車業界が苦しむ『トランプ危機』の時代にうまく対応することができれば、さらに飛躍できるチャンスになるだろう」と付け加えた。
一方でチョン・ウィソン(鄭義宣)会長はこの日、ジョージア州の新工場の竣工式で、「企業だけでなく、韓国政府も関税関連の交渉に積極的に取り組んでほしい」と要請した。さらにチョン会長は「関税は国家と国家間の大問題なので、ひとつの企業がどのような戦略を取ったとしても、それほど大きな効果は期待できない」と述べ、「だが交渉は企業が個別に行うだけでなく、政府レベルでも主導的に行われるべきで、これからが始まりになるだろう」と述べた。続けて「関税の賦課が始まる4月2日以降が非常に重要な時期になると考えている」と付け加えた。
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