尹氏は昨年12月3日に「非常戒厳」宣言を出し、同14日に国会から弾劾訴追されて職務停止になった。憲法裁が非常戒厳宣言を違憲と判断し罷免を認めただけに、世論は国会第1党の最大野党「共に民主党」に有利な状況だ。
エムブレインパブリックとケイスタットリサーチ、コリアリサーチ、韓国リサーチの4社が先月31日~今月2日に18歳以上の1001人を対象に実施した世論調査で、次期大統領選で野党による政権交代が行われるべきだとする回答は51%で、与党「国民の力」が引き続き政権を担うべきだとする意見は33%だった。
共に民主党はこのような世論を背景に、前回2022年の大統領選の雪辱を狙う。
非常戒厳に反対する世論が多数だっただけに、保守と革新という対立ではなく「民主対反民主」の構図で争えば十分勝算があるというのが共に民主党の分析だ。
次期大統領選の党内候補者が決まっていない国民の力とは異なり、共に民主党は李在明(イ・ジェミョン)代表が圧倒的優位を確保している。
公職選挙法違反の罪に問われた李氏は次期大統領選への出馬が危ぶまれていたが、先月26日の二審判決で逆転無罪を言い渡されたことも追い風となった。
次期大統領選の李氏以外の同党候補としては金東ヨン(キム・ドンヨン)京畿道知事、金富謙(キム・ブギョム)元首相、金慶洙(キム・ギョンス)元慶尚南道知事、金斗官(キム・ドゥグァン)元慶尚南道知事などの名が挙がっているが、現時点では李氏に対抗できる支持率を確保していない。
ただ、李氏が今後の裁判で有罪になるリスクを巡り、党内予備選が「一対多」の泥沼の争いになれば、無党派層を取り逃すことになるとの見方も出ている。
一方、国民の力は尹氏の罷免により、次期大統領選をハンディキャップを抱えて戦うことになった。非常戒厳に対する否定的な世論、同党から大統領選に出て当選した大統領が2人連続で罷免された事実をどのように克服していくかが課題となる。
明知大の申律(シン・ユル)教授(政治学)は聯合ニュースの取材に対し、尹氏の罷免に反対していた党が尹氏の罷免により前倒しして行われる次期大統領選に参加するのは整合性を欠くという見方もあるとし、無党派層の取り込みに苦心することになるだろうと見通した。
このような背景から国民の力は次期大統領選候補の支持率でリードする李氏が裁判で有罪になるリスクなどを強調し、「反・李在明」を掲げて争うとみられる。
金文洙(キム・ムンス)雇用労働部長官、呉世勲(オ・セフン)ソウル市長、洪準杓(ホン・ジュンピョ)大邱市長、韓東勲(ハン・ドンフン)前代表、安哲秀(アン・チョルス)国会議員などが同党の党内候補として名が挙がっている。
「国民の力」の元代表で離党した「改革新党」の李俊錫(イ・ジュンソク)前代表が大統領選への出馬を表明しており、保守層の支持をどの程度集めるのか、国民の力との連携はあるのかなども注目される。
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