この日から60日以内に実施される大統領選まで、政府は大統領権限代行体制の下で外交部を中心に現在の外交基調を維持し、北朝鮮の核問題やロ朝軍事協力、米国の「トランプリスク」などの懸案対応に注力すると予想される。
なかでも米国が韓国に相互関税を課したことや、韓国を安全保障や核不拡散などで特別に注意が必要な「センシティブ国」に指定したこと、在韓米軍駐留経費の韓国側負担金の引き上げを求めていることなど、韓国外交の主軸である韓米関係にとって負担となる懸案の管理に集中する見通しだ。
北朝鮮の核問題やロ朝軍事協力については、韓米日連携に基づき対応するとみられる。
韓米日3カ国の外相は3日(現地時間)にベルギーのブリュッセルで会談し、北朝鮮の核・ミサイル計画に対応し、対北朝鮮制裁体制の維持・強化に努めることを決めた。
韓中関係改善の流れを維持し、今年国交正常化60年を迎えた日本との協力ムードを持続させることも重要な外交課題だ。
しかし、このような政策基調も大統領選を経て新政権が発足するまでの2カ月間限定となり、その後は状況が変化する可能性がある。
なかでも自由・人権・法治を掲げた尹政権の「価値外交」とは対照的に「実用主義」を掲げてきた最大野党「共に民主党」が政権を握る場合、これまでの外交政策が修正される可能性が高いとみられる。
野党側は尹前大統領に対する最初の弾劾訴追案で「価値外交という美名の下に北や中国、ロシアを敵視」したとし、「日本中心の奇異な外交政策に固執して北東アジアで自ら孤立を招き、戦争の危機を触発」したと指摘した。
2度目の弾劾訴追案では「価値外交」に関する内容は削除されたが、尹政権の外交政策に対する野党の否定的認識が表れていた。
ただ、韓国内の政治状況にかかわらず、第2次トランプ政権発足後の国際社会では価値外交は既に衰退している。
梨花女子大の朴元坤(パク・ウォンゴン)教授(外交学)は、トランプ政権の関税政策などにより世界が「価値」ではなく「取引コスト」を中心に再編されていると指摘した。
また、日本が歴史歪曲(わいきょく)を繰り返している中で、政権交代の有無は韓日関係に大きな影響を与える恐れがある。
特に野党が政権を握った場合、徴用被害者への賠償金支払いを韓国政府傘下の財団が肩代わりする「第三者弁済」方式が再び俎上(そじょう)に載せられる可能性がある。
政府は日本企業も財団に参加することを期待していたが全く反応がなく、このような方法の成否によって韓日関係が再び不安定になることもあり得る。
一方、中国をけん制するために韓米日協力を重視する米国が、韓日関係の悪化を歓迎しないという点で、与野党のどちらが政権を握っても日本と強く対立することは難しいとの見方も出ている。
国民大の李元徳(イ・ウォンドク)教授(国際政治学)は対日政策について、「諸般の情勢をみると、再び日本と対立局面に向かう方向に急転換する可能性はあまりなさそうだ」とし、誰が政権を握っても大きな変化はないとの見通しを示した。
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