尹前大統領の弁護人を務めるユン・ガプクン(尹甲根)弁護士は、初公判終了後の記者会見で、「今回の刑事裁判は、真実と事実を明らかにしていく過程だ」と強調。その上で、憲法裁判所の決定については「1審制であり、法律上、制度的に尊重せざるを得ない立場だが、それが絶対的な真実や事実であるとは限らない」と述べた。
さらに尹弁護士は、憲法裁判所の審理過程における証拠法違反の可能性を指摘。「刑事裁判で証拠として採用できないものが、憲法裁では証拠として認定された疑いがある。刑事裁判では、その点を徹底的に争い、事実ではないことを立証していく」と意気込んだ。
検察側が、合法的な非常戒厳令を内乱と見なしている点に対し、弁護団は「公訴事実全体を否認する」と改めて表明。公訴状に列挙された複数の共謀事実についても具体的な事実を否定した。また、「内乱罪の構成要件である国憲紊乱を目的とした暴動は存在しなかった」と強く主張した。
この日の公判で、尹前大統領は冒頭陳述や裁判の合間にも積極的に発言するなど、自ら積極的に反論を展開した。これについて尹弁護士は、「事前に緊密な打ち合わせはなかった。検察側の主張が事実と大きく異なると感じたため、事実を最もよく知る大統領本人が説明した」と述べた。
約8時間20分に及んだ初公判のうち、尹前大統領は約93分間にわたり直接発言し、内乱への関与を強く否定した。午前の審理で42分間、午後の審理でも40分間にわたり、非常戒厳令の正当性を主張。特に、12月3日の非常戒厳令については「国民へのメッセージ伝達を目的としたものだった」との認識を示した。
裁判官が数度にわたり発言を制止する場面もあったが、尹前大統領は裁判官や弁護人の言葉を遮って自身の主張を続けた。機会を捉えて積極的に発言し、結果的に10分以上の発言時間を追加した。
尹前大統領は、検察側の公訴状に対し「立証責任は検察にある。主導的な捜査を否定するわけではないが、内容があまりにも粗雑だ。これではまともな裁判は期待できない」と強い不満を示した。
また、検察が主要証人として申請した38人についても異議を唱えた。「軍の指揮官や警監級の指揮官を証人として出す必要はないのではないか」と疑問を呈し、特にクァク・ジョングン(郭種根)元特殊戦司令官については、憲法裁の審理で証拠の信頼性が揺らいだ通話記録が証拠として採用されている可能性に懸念を示した。
尹前大統領の2回目の公判期日は21日に指定された。次回の公判でも、初公判と同様に、チョ・ソンヒョン首都防衛司令部第1警備団長とキム・ヒョンギ特殊戦司令部第1特殊戦大隊長に対する証人尋問が行われる予定だ。
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