また家計負債増加や不動産に絡む金融不安、補正予算のほか米連邦公開市場委員会(FOMC)の定例会合で公開される見通しの不確実性も据え置きの決定を後押ししたとみられる。
金融通貨委員会は昨年10月に政策金利を0.25%引き下げ、金融政策を引き締めから緩和に転換。11月も市場の据え置き予想に反して追加利下げに踏み切った。今年1月には据え置いたが、2月に再び0.25ポイント引き下げた。
尹錫悦(ユン・ソクヨル)前大統領の「非常戒厳」宣言と弾劾訴追による消費・投資不振などの内需委縮で昨年10~12月期の経済成長率が0.1%と低調だったのに加え、米国の関税政策のリスクも重なったことで今年の成長率も1.5%にとどまると予想され、利下げによる景気押し上げが不可欠になったためだ。
専門家らは、2月の金融通貨委員会後に米国の相互関税発表などで景気や成長に対する懸念がさらに高まったにもかかわらず連続利下げを回避したのは、為替の変動性拡大が最大の理由と分析している。
ウォンの対ドルの為替レートは米国の相互関税発表が迫り、尹前大統領に対する弾劾審判の宣告が遅れていた先月末に1ドル=1470ウォン(約147円)前後までウォン安が進み、今月9日に相互関税が発動されると日中の終値で1484.1ウォンに達した。世界金融危機時の2009年3月12日(1496.5ウォン)以来約16年ぶりのウォン安・ドル高水準だ。
その後、相互関税の停止を受けて今年に入り最もウォン高となる1420ウォン前後に落ち着いたが、再び不確実性が高まりかねない状況だ。
李昌鏞(イ・チャンヨン)総裁をはじめとする韓銀関係者は、為替の特定水準よりも変動性の拡大をより警戒し、管理しなければならないと繰り返し強調してきた。
韓国の対外純資産は昨年末時点で1兆1023億ドルと初めて1兆ドルを超え、対外純債権も3981億ドルに上るなど、ウォン安が一定水準進んだとしても「為替危機」に達する危険性は高くない。
しかし、ウォン安で輸入物価が上がった場合は消費者物価が上昇するだけでなく、為替変動性が高まり派生金融商品が打撃を受けることになる。
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