2021年に党第8期中央委員会が発足した時点でのチョ氏の党内序列は金総書記、チェ・リョンヘ最高人民会議常任委員長に次ぐ第3位。出生地は不明だが、年齢は現在、67歳とみられている。韓国紙の中央日報がかつて報じたところによると、1995年にキム・イルソン(金日成)総合大学物理学科を卒業後、教員になった。理工系出身者の優遇政策により、北朝鮮・南東部のカンウォンド(江原道)党委員会組織指導員に任命され、その後、党中央組織指導部に転じ、2012年に党組織指導部第1副部長に就任した。
金総書記には2014年から視察などに同行するようになった。2018年の南北首脳会談や米朝首脳会談の際も、常に金総書記のそばにいた。昨年7月、北西部のピョンアンプクト(平安北道)は水害に見舞われたが、同年9月に金総書記が現地の復旧事業を視察した際にも、金総書記の傍らにチョ氏の姿があった。
チョ氏の現在の肩書、党組織担当書記は党最高指導部の重要ポストで、宣伝担当書記とともに、金総書記の最側近があてられる。チョ氏は金正恩体制になって以降、一度もこの地位から下がったことがない。党幹部の人事・評価を総括する立場にあるチョ氏は、金総書記の「影の実力者」とも称される人物だ。
しかし、チョ氏は北朝鮮メディアに2か月近くにわたって言及されていない。チョ氏が最後にメディアに登場したのは、2月28日に南部のケソン(開城)市のケプン(開豊)区域で行われた地方工場と総合奉仕所の着工式の報道だ。
今月15日、北朝鮮は金総書記の祖父、故キム・イルソン(金日成)主席の生誕記念日「太陽節」を迎えた。金主席らが眠るクムスサン太陽宮殿を党幹部らが参拝したことが北朝鮮メディアに報じられたが、記事中にパク・テソン首相や、チェ・リョンヘ最高人民会議常任委員長について言及はあったものの、チョ氏の名前は見られなかった。
また、首都・ピョンヤン(平壌)のファソン(和盛)地区ではこのほど、1万戸のニュータウンが完成し、15日、金総書記も出席して現地で完工式が行われた。式典にはパク首相やチェ最高人民会議常任委員長、キム・ドククン経済書記ら、金総書記の側近や関係幹部らがこぞって出席したが、朝鮮労働党の機関紙、労働新聞が16日にこれを報じた記事に、チョ氏の名前はなかった。
北朝鮮では、粛清や失脚、降格された幹部が、その前段階として金総書記の公開活動から外されるケースがこれまで度々あった。
チョ氏とリ・イルファン党書記が、北朝鮮メディアで2か月近く言及されていないことについて、韓国の聯合ニュースは「2人が報道から消えた時期は、今年初めに北朝鮮が幹部の綱紀確立に乗り出したタイミングと重なる」と指摘した。
今年1月、金総書記は、北朝鮮内の2地域で、党の内規に違反する重大な不正行為が確認されたことを問題視した。不正行為の発覚を受けて同月、党書記局が拡大会議を開き、これに出席した金総書記は「政治的、道徳的な犯罪」だと糾弾した。党幹部ら40人余りが、中西部のピョンアンナムド(平安南道)のオンチョン(温泉)郡で行われた接待で飲酒したことが、党の規律に違反したとして問題視された。また、北部のチャガンド(慈江道)にある別の郡では、農業政策を担う監察機関が権利を悪用して一般市民の利益を侵害したと指摘された。これらは当時、いずれも「重大事件」として扱われ、関係者が処分されたとみられている。さらに、金総書記は同時期、労働新聞などの官営メディアを通じ、綱紀粛正を指示していた。
これら「重大事件」とチョ氏らの動向未確認との関連性は不明だが、韓国統一部(部は省に相当)の当局者は22日、「チョ・ヨンウォン、リ・イルファンの身辺に変動があった可能性を念頭に置き、動向を見守っている」と話した。
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