「祖父は後進国で、父は中進国で、子供は先進国で生まれた」という言葉が実感できるほどだ。世界が韓国を羨(うらや)む。しかし、我々の自国に対する視線は正反対だ。韓国は苦しんでいる。一時期流行した「スプーン階級論」に象徴される「ヘル朝鮮」論争が蘇(よみがえ)っている。世界最低の出生率がその証拠だ。このまま行けば韓国は世界地図から消えかねない。今は非常事態なのだ。
一体何が問題なのだろうか?。断言するが、現在の韓国社会で最大の問題は医大と江南のマンションだ。教育費と不動産に象徴される難題中の難題で、国民が日常で最も困難に直面している分野だ。解決策を出そうと苦心しているが、現実的な制約のためにこれを諦めてしまう。医大とマンションという表現には、韓国の数多くの矛盾がほどけない糸のように絡まっている。
まず、結婚と出産を妨げるキーワードだ。 江南でなくても首都圏でチョンセ(伝貰/保証金賃貸制度)でマンションを借りることが難しければ結婚もできない。出産・育児の心配に加えて過度な教育費のことまで考慮すれば、子供を産むことも難しい。それだけではない。医大とマンションは単純な教育・入試または住居の安定性の問題ではない。さらに大きな問題は、国家レベルで資源配分の効率性を遮(さえぎ)り、階層移動のはしごを崩しているという点だ。
韓国には資源がない。ただ人的資源で暮らしている国だ。いつの頃からか、理系最高の頭脳は理工系に進学することをあきらめ、医学部に向かうようになった。医大を頂点に大学の序列化が完成した。このことは韓国経済の成長エンジンを考えると心配になる。また、医学部は現役高校生ではなく、浪人をしてこそ入学することができる難関だ。
不動産問題はさらに深刻だ。規制問題により歴代政権が迷走し、状況はさらに悪化した。もはや誰にも解決できないという自暴自棄論がまん延している。首都圏や非首都圏、江南・非江南の格差は越えることができない壁として存在している。相対的剥奪感による貧富の格差は社会の安定性までも揺るがしている。さらに、過度な融資負担による仮処分所得の不足は全方位的な内需不振につながっている。万が一バブルがはじけた場合、日本の「失われた30年」のような悪夢に韓国も耐えなければならない。
もうすぐ大統領選挙が行われる。選挙戦では数多くの公約が飛び交うことが予想され、大統領選挙後にはまた忘れられるだろう。それでも教育費と不動産問題だけは与野党間の激しい論争が続いてきた。もしかすると、トランプ発の関税戦争よりも重要な問題かもしれない。
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