ソウル市と全国自動車労働組合連盟ソウル市バス労働組合によると、ソウル市内バスの労使は29日午後5時から、ソウル市ヨンドゥンポ(永登浦)区にあるソウル地方労働委員会にて賃上げなどを議題に第2回調整会議を開催する。
バス労働組合と事業者側であるソウル市バス運送事業組合は、ことしの賃金交渉において意見の隔たりを埋められず、14日にソウル地方労働委員会に調整申請を行い、手続きに入っている。
調整期限は29日までで、労組側は賃金交渉が最終的に決裂した場合、30日午前4時の始発からストライキなど全面的な争議行為に突入すると予告している。
労組側の要求は、隔月で支給される賞与金を通常賃金に含めること、そして現在63歳である定年を65歳まで延長することだ。
労組には64の事業者が参加しており、そのうち争議行為に参加できる団体交渉対象の会社は61社とされている。
一方、事業者側は通常賃金を引き下げる方向での賃金体系改革を求めており、依然として意見の隔たりが埋まっていない状態だ。
両者の世論戦も同様だ。
ソウル市は29日午後「ソウル市民の血税で年間20%の賃上げは不適切」と題した報道資料を発表し、「労組の主張通り、通常賃金に関する判例変更により10%以上の賃上げが発生し、そこに基本給8.2%の追加引き上げまで反映すれば、最終的には総額ベースで20%の賃上げを求めていることになる」と説明した。
さらに「市内バスの準公営制により累積赤字がすでに1兆ウォン(約1000億円)に迫る中で、今回の労使交渉が難航しているのは非常に懸念される」と述べた。
ソウル市によると、準公営制の施行以降、労使は毎年、市内バスの運転職の人件費について総額基準で協議してきており、これまでの年平均賃上げ率は約4%であった。その結果、バス運送原価に占める運転職人件費の割合は、2008年の50.8%から2024年には68.3%に増加している。
しかし、昨年12月19日に最高裁が通常賃金に関する従来の判例を変更したことにより、労使合意とは無関係に賃上げの問題が生じた。
労組は、この最高裁判決に基づき、これまでの定期賞与を通常賃金に反映させることで、賃金を10%以上増額すべきであると主張している。定期賞与を通常賃金に含めると、時間外手当など各種法定手当の額も増加することになる。
労組はまた、基本給の8.2%引き上げを交渉案として提示しており、これがすべて受け入れられた場合、運転従事者の平均賃金は6,273万ウォン(約623万円)から7,872万ウォン(約782万円)へ上昇する効果が生じる。この場合、人件費の総額は年間約3,000億ウォン(約300億円)増加すると見込まれており、ソウル市はこれが深刻な財政負担につながると主張している。
一方、事業者側は「既存の賃金体系は賞与が通常賃金に含まれないことを前提に労使間の協議で構築されたものであり、最高裁の法理が変更されたのであれば、必ず賃金体系を改編すべきだ」との立場を示している。最高裁の判例に従い、定期賞与を通常賃金に反映すべきだというわけだ。
労組側の説明によれば、最高裁の判決の趣旨は既存の賃金体系を維持することではなく、雇用労働部(厚生労働省に相当)も「通常賃金労使指導指針」の改正を通じて、労使対話による賃金体系の再編を指導しているという。
労組は昨年、労使の賃金交渉が決裂した翌朝にストライキに突入した。労組がストを行ったのは2012年以来12年ぶりだった。
しかし、ソウル市の仲裁により労使は同日午後3時ごろ「賃上げ率4.48%、祝日手当65万ウォン(約6万5000円)」を骨子とする賃金交渉で合意。これによりストライキも11時間で全面中止され、通常運行に復帰した。さらに2022年には交渉最終日の翌朝に劇的に合意に達し、2023年にはスト突入の約20日前に妥結された経緯がある。こうした前例から、ことしの交渉も明け方に決定される可能性が高いと見られている。
一方、ソウル市の市内バスは準公営制で運営されている。準公営制とは、自治体がバス事業者の赤字などを補填する代わりに、交通の不便な地域への路線維持など公共性を確保する制度である。
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