インタビューに応じた斎藤さん=5日、ソウル(聯合)
インタビューに応じた斎藤さん=5日、ソウル(聯合)
【ソウル5日聯合】「東アジアの知識交流と歴史の記憶」をテーマに東北亜歴史財団が主催する国際学術大会が5日、ソウルで開幕した。この大会に日本から出席した明治大学講師の斎藤一晴さんは、韓国と日本、中国が共同で開発する歴史教科書の必要性を主張する。斎藤さんは著書「中国歴史教科書と東アジア歴史対話」で駿台史学会賞を受賞し、来年は博士号も取得する予定だ。大会会場のソウル市内のホテルで話を聞いた。

――日本政府が、慰安婦問題を含め植民支配時代の蛮行に対し韓国国民に謝罪すべきだと思うか。先ごろ発表された東北亜歴史財団の世論調査結果では相当数の日本人が追加謝罪に否定的だと答えた。

「日本政府の謝罪は当然不十分だ。しかし、今の世代が十分謝罪するとしてもすべての問題が解決するわけではない。謝罪の内容を後の世代が記憶できるシステムが構築されてこそ真の謝罪となる。今はそのようなシステムが構築されていない。日本政府がいくら謝罪しても、教育を通じ謝罪の意味が学生らに伝えられなければ限界にぶつかるしかない」

――独島問題についてはどう思うか。「竹島は日本領土」という主張に説得力はあるか。

「結論から言うと独島は韓国領土だと思う。より正確には韓国と北朝鮮を包括する朝鮮半島の領土だ。独島問題を国境線の問題ととらえては解決の糸口は見出せない。独島は歴史認識の問題と関連している。独島は高句麗時代以来、ずっと朝鮮の地だったという歴史認識を土台に独島問題にアプローチすれば、この問題が自然に解決すると思う」

――東北亜歴史財団が実施した世論調査によると、韓国、日本、中国の互いに対する認識が悪化した。中でも特に若い世代の間で感情の溝が深いという結果が出た。韓流や日流の影響を直接・間接的に受けている若者らがより大きな憎悪を互いに抱いているというアイロニーがあるが。

「日本の若い世代は韓国のドラマ、スポーツ、歌謡に大きな興味を感じている。しかし、韓国の歌を好きでも歌詞の意味はよく分からない。韓国語だけでなく韓国人の生活と文化をきちんと知らないためだ。これは、日本の若者が相手の文化について勉強せず、うわべの部分だけに執着している事実を証明している。このため韓流に夢中になりながらも嫌韓感情が増すという矛盾した状況が生じる。共同歴史教科書の作業とこの教科書を通じた現場教育が重要な理由がここにある。相手国の歴史と文化をきちんと知ることは無知による葛藤(かっとう)を解消できる近道だからだ。また、共同歴史教科書を通じ相手の歴史を理解する過程で自身のアイデンティティーを確立していく作業も必要だ。東アジアと世界に対する明確な像を描かないまま日本が行った戦争について知ることになれば、マスメディアなどに振り回され結局は主体的な判断ができなくなるだろう」

――韓日中共同歴史教科書はなぜ作らなければならないのか。

「研究、教育、叙述的側面で韓日中にそれぞれどんな課題があるか互いに理解することは、自国の歴史を見直すうえでも非常に重要だ。2005年に発刊された共同教科書『未来を開く歴史』は内容面でも難しく、叙述も不十分だが、3カ国が共同で歴史教科書を作る作業は継続されるべきだ」

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