韓国語に翻訳された著書を携えた江國香織さん(左)と辻仁成さん=13日、ソウル(聯合ニュース)
韓国語に翻訳された著書を携えた江國香織さん(左)と辻仁成さん=13日、ソウル(聯合ニュース)
【ソウル13日聯合ニュース】日本の小説家の江國香織さんと辻仁成さんがそろって韓国を訪問した。今回の訪韓は「冷静と情熱のあいだ」に続く2作目のコラボレーション小説「左岸」と「右岸」の韓国出版を記念するとともに、ソウル国際図書展のイベント出席が目的。13日にソウル市内のホテルで記者会見が行われ、新作小説やそれぞれの文学世界を紹介した。
 すでに数回にわたり訪韓している辻さんが韓国語で「皆さんにお会いするため海を渡ってきました」と先にあいさつすると、今回初めて訪韓した江國さんも「常に来たいと思っていた韓国にとうとう来ることができうれしい」と感想を述べた。
 江國さんが書いた「左岸」と辻さんが書いた「右岸」は、「冷静と情熱のあいだ」以降、ラブストーリーではなく、より長期的な人生のストーリーを書くことはできないかと両氏が話し合った末に誕生し、雑誌に6年間掲載された。「一人の人生に起きるさまざまな出会いと別れ、交流を表現しようとした」(辻)という作品には、幼なじみの寺内茉莉と祖父江九の50年にわたる人生の物語がそれぞれつづられている。
 江國さんは、二人の主人公が幼年期を共有した点が同作品の大きなテーマだと説明する。茉莉と九は川を挟んで互いを見つめるのではなく、並んで歩む。常に一緒にいるわけではないが、となりを見るといつも相手がいる。そうした面では、「一時代を共有する人々の物語でもある」という。
 各自の作品活動を通じてもしっかりとした立地を固めた両作家が共同で小説を書くことは容易なことではないが、得たものは多いと振り返る。江國さんは「共同執筆は思い通りに書けないという点で作家にとっては短所が多いものの、辻さんとの作業では短所はなかった」とし、小説を書くときは「破壊」する作業が重要だが、辻さんがその役割を果たしてくれていると話した。
 辻さんもやはり「共同執筆は片手を縛って野球をするのと似ているが、相手からインスピレーションを得ることができるという長所がある」と語った。直球を投げたのに対し、相手が変化球で返すことで単調なキャッチボールを興味津々なものに変えるようなものだと例えてみせた。
 2回にわたる共同作業で息を合わせた相手について、江國さんは「彼は絶対に彼の文学を裏切らないと信じているので、頼もしいパートナー」と、辻さんは「二人とも非主流作家として出発し、似たような道を歩んできた信頼できる文学的パートナー」と評価した。
 滞在期間中は、江國さんが小説家チョン・イヒョンさんと、辻さんは「愛のあとにくるもの」を共同執筆した小説家コン・ジヨンさんと、それぞれ対談する。14日には韓国の読者との交流イベントも開催される予定だ。
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