カンヌのホテルでインタビューに応じるポン監督=17日、カンヌ(聯合ニュース)
カンヌのホテルでインタビューに応じるポン監督=17日、カンヌ(聯合ニュース)
「母親を素材にした独特な犯罪ドラマなのではなく、母と息子の物語が極限に達しスリラーになったわけです」――。

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 第62回カンヌ映画祭<ある視点>部門の上映作品『母なる証明』のポン・ジュノ監督に、カンヌで17日に会った。これまでの作品は横に広げていっていたとすれば、「今回は虫眼鏡で光を一点に集め燃やすような感じで作った」と語った。この作品のすべては母から始まり、母に終わるため、すべてを母に集中したのだと説明した。

 『母なる証明』は、ポン監督をスターダムにのし上げた映画『グエムル~漢江の怪物』や『殺人の追憶』とは異なるカラーの作品だ。ストーリー展開が速くなければ、登場人物も少ない。
 「テンポは遅いほうだが、ゆっくり始まり少しずつ進んでいく感じが必要だった。ある瞬間から突進しなければならなかったので」と、ポン監督は説明する。『グエムル~』とは異なり、ある時点を集中的に突き詰めることで、さまざまな断層を見せたかったという。また、『グエムル~』では怪物と家族が登場し、システム社会や米国まで素材が広がった。横に広げることに飽きたため、今回は集中させたかったと語る。そこで今回は、すべてを”母”の後ろに隠した。”母”を際立たせるため、演じるキム・ヘジャの衣装も強い色合いにした。虫眼鏡の焦点は”母”だった。

 母に関する映画を初めて頭に描いたのは、2004年のことだったという。5年余りを経て、公開に至った『母なる証明』。主人公には5年前から望んでいたキム・ヘジャを起用した。”大韓民国の母親像”に多くの女優の中でも、キム・ヘジャでなければならなかった理由について、「独特で暗いヒステリーと狂気は、キム・ヘジャさんならではのもの」だと説明した。
 「長い間、”国民の母”という栄誉と荷を背負ってこられた。美しい岩も持ち上げればその下には虫がいて土があるように、キムさんが演じればもっと赤裸々に見えるだろうと考えました。それこそ、ほかの女優たちとキムさんの違いだと思います」。

 息子を演じたウォンビンに対しても、称賛を惜しまなかった。「いい俳優です。大変な負けず嫌いで、自分なりのこだわりもある。非常に難しい役でしたが、力を入れすぎず、自然に演じてくれました。整った顔ではなく、俳優として新しく宣言する印象を受けました」。

 次回作は『雪国列車』だ。『母なる証明』が、シャツのボタンをすべて留めて撮った作品ならば、次回作はもう1度全部外して作る、男性的な映画になるだろうと予告した。
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