年次報告書は、北朝鮮で広範囲な人権侵害が続いているとして懸念を表明している。昨年6月の国連世界食糧計画(WFP)と国連食糧農業機関(FAO)の調査結果で北朝鮮の全家庭の約4分の3で食糧が減少したことが分かったとし、「こうした事態にもかかわらず、行き詰まった南北関係のために北朝鮮政府は韓国に支援要請をしていない」と指摘した。また、政治弾圧や経済的な理由で数千人が中国へと国境を超えていること、強制送還された人が最長3年間の収容所生活を強いられ、拷問や虐待を受けていることを明るみにしたほか、公開処刑問題も取り上げた。
報告書はあわせて、北朝鮮が昨年8月、1970年代以降に行方不明になった数人の日本人について拉致などの「強制失踪(しっそう)」事実を認めないながらも、生死確認と所在把握に向けた再調査には合意したと伝えた。
一方、韓国の人権については、昨年起こった米国産牛肉輸入に反対するキャンドル集会で、デモ参加者を解散させる際に公権力が過度に用いられたと述べた。また、KBSやYTN、アリランテレビなどの社長が現政権の支持者に交代されたと主張し、これをメデイア独立性の侵害と見なした。
アムネスティは記者懇談会では、今年初めに起こったソウル・竜山開発地域での立てこもり住民死亡事件や、インターネット上で経済政策について虚偽事実を流布したとして男性が拘束された事件を取り上げ、今年も警察力の過度な利用と表現の自由の侵害が続いていると懸念を示した。
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