『海雲台』の出演陣とユ・ジェギュン監督(左端)=(聯合ニュース)
『海雲台』の出演陣とユ・ジェギュン監督(左端)=(聯合ニュース)
ことしは韓国映画が数年間の低迷から抜け出し、再跳躍の可能性を示した1年だった。

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 映画振興委員会の集計によると、年初から今月12日までの興行成績上位10位のうち、7作品が韓国映画だった。『海雲台』は映画業界で3年ぶりとなる観客動員1000万人を突破、『牛の鈴音』は295万人を動員し独立映画の可能性を示した。また、韓国映画の海外映画祭進出も相次いだ。

 ユン・ジェギュン監督、ソル・ギョングハ・ジウォンら主演の『海雲台』は、純制作費140億ウォン(約10億円)が投じられた今夏の大ヒット作。全国で1139万人を動員した。観客動員数1000万人突破は、『グエムル~漢江の怪物』(1301万人)以来、3年ぶり。
興行成績は、、『グエムル~漢江の怪物』、『王の男』(1230万人動員)、『ブラザー・フッド』(1174万人動員)に続き、歴代4位を記録した。

 スキージャンプ韓国代表選手らの姿を描いたキム・ヨンファ監督作『国家代表』も、844万人を動員。興行成績は歴代6位となった。
 『海雲台』と『国家代表』は、ハリウッドの人気作を制し、ことしの興行成績1、2位を占めた。『海雲台』のヒットは、ハリウッドのCG(コンピューターグラフィックス)技術に、韓国的なドラマを絶妙に調和させた結果といえる。『国家代表』も、国内では初めて特殊撮影装備「CamCat」を利用し、ジャンプの瞬間をとらえた。

 このほか、『7級公務員』(407万人)が6位、昨年12月に封切られた『スピードオーバー・スキャンダル』はことしだけで388万人を動員し7位、『霜花店』(331万人)、『亀走る』(305万人)、『母なる証明』(300万人)が8~10位を記録した。 

 一方、年初から11か月間の劇場観客総数は1億3902万人、売上高は9518億ウォン(約730億円)で、前年同期(1億3326万人、8660億ウォン)よりやや増えた。このうち、韓国映画を見た観客は7059万人(51.2%)で、外国映画(48.8%)を上回った。前年同期の韓国映画シェアは41.6%で、これを大きく上回った。

 ドキュメンタリー映画『牛の鈴音』(イ・チュンリョル監督)は、ことしの韓国映画界の最も驚くべき収穫の1つだ。「1万人で大ヒット」とされる独立映画に対する常識を覆した。口コミで観客数が増え、公開から130日で295万人を記録。ことしの韓国映画興行成績で12位となった。これまでの独立映画の最高興行作は、キム・ミョンジュン監督の『ウリハッキョ~われらの学校』(2006年)だが、観客動員数は10万人だった。

 この『牛の鈴音』ブームを追い風に、ことしは『息もできない』など6本の独立映画が1万人以上の観客を動員した。

 韓国映画の海外進出も目立った。カンヌ国際映画祭でパク・チャヌク監督の『Thirst』が審査員賞を受賞し、ポン・ジュノ監督の『母なる証明』は「ある視点」部門で好評を得た。『よく知りもしないくせに』(ホン・サンス監督)など、過去最多の10本の韓国映画が招待された。 

 『息もできない』の海外進出も目を引いた。ロッテルダム国際映画祭、ドービルアジア映画祭、バルセロナ・アジア映画祭などで大賞を受賞するなど、海外映画祭だけで21の賞を受賞した。
 一方で、海外封切やDVD発売を前に『海雲台』など作品の動画ファイルがインターネット上に流通し警察が捜査に乗り出すなど、映画界の慢性的な違法ダウンロード問題は解決されなかった。

 合法ダウンロード市場は2005年の600億ウォン規模から2008年には200億ウォンに縮小し、オンラインVOD(ビデオ・オンデマンド)上映館も同期間に300か所から65か所に減った。DVD販売市場も2004年6536億ウォンから4年間で2224億ウォンに減少した。映画界は、違法ダウンロードシステムを無力化する最先端のフィルタリング技術システムを導入する一方、人気俳優を中心に合法ダウンロードを訴えるキャンペーンなどを行っている。
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