シン・ハギュン=6日、ソウル(聯合ニュース)
シン・ハギュン=6日、ソウル(聯合ニュース)
韓国映画「JSA(共同警備区域)」、「ガン&トークス」、「復讐者に憐れみを」、「地球を守れ!」、「マイブラザー」、「トンマッコルへようこそ」、「渇き」――。華麗なるフィルモグラフィーが、韓国俳優シン・ハギュンの名を映画界と大衆の脳裏に刻みつけた。多種多彩な人物を演じ分ける彼は、演技派俳優、狂気漂う演技を見せる俳優と呼ばれる。

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 個性が強い人物を多く演じてきたおかげか、どうということのない平凡な人物を演じることは、むしろシン・ハギュンにとってとまどいを感じさせることだったようだ。先ごろソウル・三清洞のカフェで会った彼は、韓国で間もなく封切られる映画「高地戦」で演じたカン・ウンピョという役について、自分にとってはチャレンジだったと語った。

 カン・ウンピョは朝鮮戦争で東部戦線に投入された部隊の中尉で、部隊の実質的リーダーとなるキム・スヒョク(コ・ス)を見つめる観察者であり、ストーリーを引っ張る叙述者だ。キャラクターそのものに特別な部分がないため、演じるのも簡単そうに思えるが、実は存在感だけで観客を引き込まなければならない大変難しい役だと説明する。撮影中も苦労の連続だったという。
 「こういう役は初めてなので、演じていてもちゃんと出来ているのか、間違っていないか、ピンとこなくて。さまざまなキャラクターの人物が多く登場する作品なので、しっかり中心になってリードしなければいけないのに、うまくやれているのか分からないので、ただ監督を信じてついて行きました。まだ完成したものを見ていないので、どう映っているのか気になりますね」と語った。
 
 「高地戦」は、「映画は映画だ」、「義兄弟~SECRET REUNION~」のチャン・フン監督の3作目で、朝鮮戦争最後の戦闘、高地戦を描いた。戦争という素材は慎重に扱うべきものであり、またすでに多く使われているおなじみのものでもある。新しさがないと思われるかもしれないが、今作品は既存の素材を新たな観点で扱ったものだというシン・ハギュン。ビジュアルや派手な戦闘シーンでは描けない戦争のアイロニー、韓国という社会が持つアイロニーを見せているのだという。
 「同じ言葉を使う一つの民族が戦争で殺し合わなければならない。悲しみながらも笑いがこみ上げる、かといって笑うこともできない。そんな部分を見せる映画です。俳優として有意義で、やりがいも感じるものでした」と話した。

 戦闘シーンは、慶尚南道の海抜650メートルの山中に組まれたオープンセットで撮影された。昨年9月からことし3月まで冬を越しての撮影は、俳優たちにとって肉体的にも大変つらいものだった。シン・ハギュンも、「出演を決めたときに、作品そのものについては悩みませんでしたが、絶対に肉体的にきつい撮影になるだろうと、ちょっと葛藤しました」と打ち明けた。実際、予想通りに厳しい撮影となったが、登場人物の多さが幸いし、別のキャストの撮影中に一息つきながら何とか乗り越えた。
 
 パク・チャヌク監督、チャン・ジン監督と、名監督の作品に多く出演してきた。自身の俳優としての強みは何だと考えるか尋ねると、「強みが特にない俳優だと思います」との答えが返ってきた。大きく発展したようでもなく、今も役者を始めたころと同じ位置にいるような気がする。そのため、自分が出演した映画を自信を持って見ることができない方なのだという。演じれば演じるほど役者の難しさを実感している。繰り返し演じていくことで磨いていく演劇の舞台とは異なり、一度撮ってしまえばそれで終わり長く残される映画は、よりち密に繊細に作業しなければならないものだと語った。
 
 大きな瞳に、笑うときゅっと上がる口角は天真爛漫な印象だが、表情によってはまったく異なるイメージを人に与える。内面を推し量ることが難しい顔をしている。実際のところは愉快で平凡な性格だが、強いキャラクターを演じることが多いせいか、誤解している人が多いと分析する。
 「演技とは基本的に人間探求なので、日ごろから人間について、特に自分自身の存在についてよく考え悩んでいますが、説明するのは難しいです。僕も自分がよく分からないし、絶対の善でも悪でもないのが人間だと思います」   1998年にデビューし、20本余りの映画に主演した。かなりの多作といえる。休むと無気力になってしまうので、休みたくないという。「日々の暮らしの中で最もエネルギーにあふれている時間が、働いているとき。体に染み付いているみたいです」と語った。

 今回もクランクアップしてから2か月ほど休んでいるが、もう次の撮影に入りたくて体がうずうずしていると意欲的だ。
 5月で37歳となった。少なくない女性ファンが気になるのは、結婚の計画だろう。
 「機会ができませんね。積極的に努力もしていないんですけれど。これという計画があったり結婚に幻想を抱いているのでもないです。友達のように暮らせる相手がいたらするつもりではいますよ」語った。


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