【ソウル聯合ニュース】韓国で4月に実施される総選挙(国会議員選挙)を前に、米国との自由貿易協定(FTA)の再交渉問題が再び争点に浮上している。最大野党・民主統合党が韓米FTAの再交渉を求めているなか、党の結束を努めていた与党・セヌリ党の朴槿恵(パク・クンヘ)非常対策委員長が野党への攻勢に乗り出した。
 朴委員長は13日の非常対策委員会で、「与党時代は国益のためFTAを推進すると言い、野党になると正反対の主張をしている。選挙に勝つとFTAを廃棄すると主張する人たちにはこの国を任せられない」と述べ、韓米FTAに対する民主統合党の姿勢を厳しく非難した。
 朴委員長の発言は、党大会(2008年)で現金入りの封筒が配られたとされる疑惑など、党内で不祥事が相次いで出ているなか、韓米FTAをテコに与党陣営や支持基盤である保守層の結束を図る狙いがあるとみられる。また、「総選挙戦略がない」とする党指導部への批判をかわす意図もありそうだ。
 与党一部では韓米FTAの廃棄主張で、民主統合党に対する否定的な世論が広がっていると判断している。これを機に、支持率の伸び悩む朴委員長はこれまで主張してきた「原則と信頼」の政治信念で、支持率の上昇を図りたい考えだ。
 党の援護射撃も続く見通しだ。同党の鄭玉任(チョン・オクイム)議員は記者会見を行い、民主統合党が再交渉を求めている韓米FTAの10項目について、「自動車分野を除くと盧武鉉政権の際に(米国と)合意したものとまったく同じだ」と非難した。

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