薄っぺらな悪役と熱血検事の闘い
『公共の敵2』

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自分と直接関係がないとしても、もし、誰かが行動や性格だけを理由に、一人の敵となれるとしたら、27日に公開される映画『公共の敵2』のハン・サンウ(チョン・ジュノ)ほどの強敵はいないだろう。

財閥の父親から受け継いだ財産で“金祭り”をやりまくる金持ち息子というご身分に、高校時代は“番長”、顔もイケてて、憎らしいことに、一見すると礼儀正しそうな微笑を浮かべている。「ワールドカップ準決勝のとき、光化門(クァンファムン)に繰り出して楽しむだけ楽しめばいいじゃないか」と、庶民を無視する発言も憚らず、いい体格のくせに兵役も免除されている。

引き起こす犯罪も、全国民が最高の価値として評価する教育事業と関連している。金を海外に流出し、私服を肥やし、政治家たちとも裏でつながっている。“ヌクヌクと育った(そして目上の人を敬わない)”最近の若者の代表格といえるヤツだから、多少なりとも年配であると自覚している人たちは毛嫌いするだろう。このくらいだと、本当にすべての観客は、彼を叩き潰すべき“公共の敵”、または全国民の“ワンタ(仲間はずれ)”と命名されて然りである。

映画で観客が感じる主な喜びは、悪党をやっつけるヒーローの姿だとしたら、『公共の敵2』では、悪党の位置づけはこの上なく素晴らしいと言えよう。

賢く悪いヤツが闊歩し、これから“良き国”の“味方”がこの敵をやっつけてくれれば万事OK。ちょうど、味方には手続きや過程すべてを無視して、猪突猛進に正義感を燃やすソウル中央地方検察強力部のカン検事がおり、ヒーローの活躍を期待するのみである。

しかし、このようにずる賢い悪党キャラクターは、大衆映画の長所であると同時に、この映画をここから一歩も進めないようにしている致命的な限界となっている。“何故”がないまま、こういった悪党の要素を盛り合わせた人物は、悪の対象として一瞬、怒りを呼び起こすことはできるが、この怒りの実態は至極瞬間的である。映画的な蓋然性を満足させるだけで、キャラクターの真実を見せてくれはしない。

そういう点で、公共の敵・サンウは、我々と大衆メディアを通して出会った後、コンパなどで“軽く”バカにされ、翌日にはすでに忘れ去られる、そんな悪党でしかない。

映画は、現実では到底会えそうにない悪党キャラをあらゆる“悪い点”で以って作り上げた。パソコンゲームや遊園地のパンチマシーンのように、悪党は、ワルく見えれば見えるほどいい。悪党をやっつけることが、パソコンを前にしたゲーマーの唯一の目標であるように、悪の懲罰だけが映画が意図した唯一の楽しみだとしたら、この映画は100%目標を達成したといえる。もちろん、強いて悪党が誕生した過程や、現実での悪党をやっつける方法を考える必要はない。

パート1の主人公が警察“強力班”刑事、カン・チョルチュンだったのに続いて、パート2の主人公は、“ソウル中央地方検察強力部”の検事カン・チョルチュン(ソル・ギョング)である。同じように机の前に座って書類をかき回すより、現場に出て直接事件とぶつかるのが性に合っている。犯人検挙のためには発砲も辞さない上、捜査推進において上下関係を無視する猪突猛進的な性格のため、検察内部でも“問題の検事”である。

そんな彼の目に、ある日、ハン・サンウが飛び込んでくる。サンウは、チョルチュンにとっては、検事の道を歩むきっかけとなった人物。高校の3年間、同じクラスで学んだサンウの二重性を、チョルチュンは誰よりもよく知っている。

捜査を始めたチョルチュンは、サンウから、ひとつずつ“悪臭”を嗅ぎ取り始める。サンウは、財団を引き継ぐはずだった兄の急な交通事故にも連累しており、今は自分のものとなった財団の金を海外に回している。自分の後ろ立となって面倒をみてくれる、政治家たちのとネットワークもしっかり構築された状態。そんな中、チョルチュンは自分の右腕ソクシン(パク・サンウク)が、サンウに殺され、外圧によって上部から捜査中止を命じられ、捜査を諦めねばならない危機に直面する。

『シルミド』に比べ、より精錬された画面と、しっかりしたドラマを見せているが、映画は146分と長い。主人公が“曲がった”姿勢で上を見上げていた警察から、堂々と胸をはり、検事長の前でプレゼンテーションを行う検事に変わってしまった点も、むしろ観客との距離を感じさせている。反面、それほどの熱演ではないが、ソル・ギョング&チョン・ジュノの演技、キム・シニルなど脇役の安定した演技と台詞回しは映画の長所。

『シルミド』で観客1,000万人時代を拓いたカン・ウソクの新作で、チョルチュンの過去のエピソードやバイクの追撃シーンなど、一部のシーンは、キム・サンジン、チャン・ユンヒョンといった監督仲間が演出を手がけた。

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