フラワーベース(花器)メーカーの株式会社クレイが13日、都内で有機栽培用の家庭菜園用土「THEO(ジオ)」の新製品発表会を行った(3月21日発売)。令和3年に決定された農水省の「みどりの食料システム戦略」を受け注目されている「有機栽培」に対し、土壌の化学性、物質性、生物性を分析、設計して作り上げた完全有機土とはどういうものなのか。
「THEO(ジオ)」は、牛ふん堆肥や植物の油かすなどの有機資材を活用し、窒素、リン酸、カルシウムといった化学性の成分バランスや土の保水性などにこだわった「肥沃で健康な土」。
自身もマンションのベランダで家庭菜園を始めようとしたが、培養土選びから苦労した経験を明かし、「だれもが簡単に有機栽培の実践ができるようになれば」と発売の理由を話すのは、小西英夫代表取締役社長。「THEO(ジオ)」の特徴を「一切の化学物質を使用しません。土中の微生物の活動が、バランスよく配合された有機資材を分解し巡回することで、野菜の生育に最適な環境を作り出す」と説明する。
ビデオ出演した久保幹(もとき)立命館大学生命科学部教授は、同氏が開発した土壌肥沃土指標「SOFIX(ソフィックス)」のパターン判定で、「THEO(ジオ)」の土は最高ランク特Aだと評価。1グラムあたり6億個以上の微生物が活動できるという土壌で、サンプルを取った1万件以上の農業用土壌のなかで上位3%の肥沃な土だという。有機栽培を成功させるには長年の経験と勘が必要とされているベテラン農家の土と同等か、それ以上のものだという科学的な裏付けもついた。
会場には、「THEO(ジオ)」と市販の培養土で栽培された小松菜やリーフレタスが比較展示された。リーフレタスは比較的小ぶりながら緑色が濃く、小松菜は葉ぶりから生育の良さがうかがわれた。5リットル880円からの価格設定は市販品より高価だが「家庭菜園で失敗なく有機栽培を実践したい層がターゲット。自社が販路を持つインテリアショップや園芸専門店での販売したい」(小西社長)と勝算は十分だ。
有機野菜を自らの手で作り循環する暮らしは、SDGs(持続可能な開発目標)にもマッチする。同社は手触りのある豊かさを、土から届けていこうとしている。
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