KARINA、WINTER、GISELLE、NINGNINGからなる4人組メタバースグループのaespa(エスパ)が4月30日、愛知・日本ガイシホールで『aespa LIVE TOUR 2023 ‘SYNK : HYPER LINE’ in JAPAN』のツアーファイナルを迎えた。aespaは、“Avatar X Experience”を表現した「æ」と、両面という意味の英単語「aspect」を結合して作られたグループ名。「自分のもう一人の自我であるアバターに出会い、新しい世界を経験する」という世界観をベースにしている、いま話題のメタバースグループだ。ジャパンツアーは3月15日の大阪城ホールを皮切りに、全10公演を行うというもの。それに加え8月には同ツアーのSpecial Editionとして東京ドーム2daysも決定している。ライブでは、「Girls」や「Black Mamba」などアンコール含め全25曲をパフォーマンスし多くのファンを魅了した。MusicVoiceでは4月15日と16日に開催されたさいたまスーパーアリーナ公演、初日の模様を以下にレポートする。【取材=村上順一】
本当に会いたかったです
aespa最大規模となったさいたまスーパーアリーナ公演。多くのファンが期待を胸にライブの始まりを今か今かと待ち侘びているのが伝わってくる。開演時刻になり、映像を使用した壮大なオープニングから、白い衣装を着用した精悍な表情の4人がステージに登場。会場はペンライトによるゴールドの光で埋め尽くされ、桃源郷のような幻想的な空間が演出されるなか「Girls」で幕は開けた。派手な特効も相まってテンションが上がるなか、WINTERがエレキギターを華麗に演奏し、クールなダンスブレイクでオーディエンスを沸かせるなど、早くもクライマックスのような雰囲気だ。
続いて「ænergy」を投下すると、オーディエンスの熱気で会場の温度が上昇していくのを感じさせるほどの盛り上がりを見せ、わずか2曲で彼女たちのポテンシャルを見せつけるカタチとなった。シンクロ率の高い鮮烈なダンスと勇ましい姿が印象的だった「Savage」と隙のないセットリストで、オーディエンスの心を鷲掴みにしていく。
4人が登場するイメージ映像に続いて、KARINAのソロコーナーへ。ステージ上に横たわるKARINAの姿はシアトリカルな雰囲気を醸し出す。自身が作詞に参加したというソロ楽曲「Menagerie」を披露。エッジの効いた歌声と透明感のある歌声を巧みに使い分け、表情豊かなパフォーマンスでオーディエンスを夢中にさせた。
続いて4人が再び集結し届けた「Illusion」では透過パネルを使用しビジュアルエフェクトとシンクロするアクションを披露。自身のアバターが映し出され、aespaの真骨頂とも言えるパフォーマンスで魅了した。MCでは「本当に会いたかったです!
埼玉公演にようこそ!」と全員で挨拶。そして、日本でのファンクラブが発足されたことの話題に。ファンクラブ名である「MY-J」とメンバーがファンに向け投げかけ、それに応えるようにオーディエンスの歓声がアリーナに響き渡ると、「まだまだもっと大きな声が出せると思います!」と語りかけ、「MY-J!」ともう一度呼びかけると返ってきた声にメンバーも「これですよ!」ととても満足そう。
そして、WINTERが「皆さんも踊れるはずの曲です。私たちと一緒に踊ってくれますよね?」と紹介し届けられたのは、「Dreams Come True」。ダンサーと共に華やかなダンスと歌で会場を沸かせた。メンバーのオフを垣間見るような映像に続いて、スクリーンには目を奪われるような美しい星空が投影。その中で届けられたWINTERのソロコーナーでは、バラードナンバー「Lips」を情感豊かに歌い上げる。天使のようなピュアな歌声が会場を包み込み、客席はエメラルドグリーンに光るペンライトで埋めつくされた。WINTERは歌唱後、手でハートマークを作りファンへの愛を表現しているようだった。
キュートな制服スタイルで届けた「Life’s Too Short」、「I’m Unhappy」に続いてのMCコーナーでは、声出し解禁ということもあり、ファンとコール&レスポンスで楽しんだ。こういったメンバーとファンとのやりとりが、ライブの醍醐味だなと再認識させてくれるような瞬間だった。
“瞬きをせずに私たちを見てね”というMCの後、披露した新曲「Don’t Blink」では、クールな4人に釘付け。続いての「Lingo」では昇降するステージを使用し、立体感のあるパフォーマンスで我々を楽しませ、ライブのテンション感はさらに上がっていく。イメージムービーを挟み、GISELLEのソロコーナーへ。披露されたのは作詞作曲に自身も参加したという「2 HOT 4 U」。オリエンタルなサウンドが響くなか、ダンサーと共にエキゾチックなGISELLEの音楽センスと魅力を存分に届けた。
エネルギーをもらって私たちも成長できた
ライブも後半戦へ。自分自身を鼓舞するようなイメージを放つ「ICONIC」のパフォーマンスに続いて、可愛らしいキャラクターがステージに登場し、メルヘンな世界観を作り上げた「Hot Air Balloon」を披露。アミューズメントパークのような楽しげなステージの様子に、オーディエンスが振るペンライトも軽快に弾んでいる。そして、「YEPPI YEPPI」、「YOLO」と立て続けにパフォーマンスし、ポップでノリノリなサウンドの中、GISELLEは「最高!」と高らかに声を上げ、今の気持ちを示した。
真剣な面持ちで扉に向かう4人の姿が印象的な映像から、NINGNINGのソロナンバー「Wake up」を投下。パンツルックで、クールなダンスを決めるNINGNING。凛とした表情、エネルギッシュな歌声で、オーディエンスを大いに沸かせた。いよいよライブもラストスパート。黒の衣装でシックに決めた4人のパフォーマンスに惹き込まれた「Salty & Sweet」から、盛り上がり必至の「Next Level」は、曲の展開も魅力的なナンバーだ。約4分の中で魅せるスリリングな展開に魅了されていく。本編ラストは「Black Mamba」を披露。会場のボルテージは最高潮のなか、クールで美麗なパフォーマンスを余すことなく届け、4人はステージを後にした。
“aespaコール”に合わせ、ペンライトが点滅する粋な演出も。そのコールに応えトロッコに乗った4人が登場。WINTERとGISELLE、KARINAとNINGNINGの2組に分かれ、割れんばかりの歓声に包まれるなか、必ずもう一度会いましょう、というメッセージが込められた「’Till We Meet Again」を歌唱。KARINAはファンの近くでパフォーマンスできたことに「私たちも嬉しいです」と話し、WINTERは「トロッコに乗って(皆さんの)近くに行くのは初めてなので、記憶に残ると思います」とコメント。感動し涙を流しているファンに向けて「泣かないで」とメンバーが声をかける場面も。
ここで1人ずつ、今日の感想を話した。
金髪にヘアをチェンジして初めて臨んだコンサートだったというKARINAは「広い会場でコンサートをしたら気持ちが新しくなりました。今日は慌ただしくてステージのことしか考えられなかったんですけど、私の気持ちがもう少し沈んでいたら泣いていたかもしれないです。今日は胸がいっぱいになる1日でした。私にとって幸せな1日を作ってくださってありがとうございます。そして、私と一緒に大切な時間を過ごしてくださってありがとうございます」。
NINGNINGは「私たちがコンサートをした中で一番大きなステージに立つことができてとても気分がいいです。この会場をいっぱいにしてくださって皆さんありがとうございます。皆さんのおかげでとても幸せで楽しい時間を過ごせました。これからも日本のファンの皆さんと仲良くなりたいです!」。
GISELLEは「今日も熱い応援ありがとうございます。エネルギーをもらって私たちも成長できたと思います。日本でのコンサートもまたまだ残っているので、これからいっぱい会いましょうね」。
WINTERは「近くで会えて幸せです。皆さんも幸せですか?
今日寝る時には私たちの夢を見てくれないとダメですよ。私たちもMY-Jの夢を見ますね。そうしたら今夜もう一度みなさんに会えますね。今日は本当に楽しかったです。またチャンスがあったら絶対に会いましょう」と告げ、ラストにもう1曲「ICU」を届けた。丁寧に言葉を紡ぐように歌う。紙吹雪がヒラヒラと舞い上がる演出も相まって、会場中が多幸感に満ちる中、さいたまスーパーアリーナ公演の初日は大団円を迎えた。
何度も感謝を伝える4人。このツアーのSpecial Editionとして8月5日と6日に開催される東京ドーム公演ついてメンバーは、「東京ドームにも来てくれますよね」と、この日訪れたファンと約束を交わし、4人はステージ後方で開いた扉の奥へ。その扉が閉まる最後まで名残惜しそうに手を振り続ける姿も微笑ましかった。確かなパフォーマンスと個性的なキャラクターで、未来への期待感がさらに高まったステージだった。