俳優チェ・ジョンヒョプを「ヒョプ様」として誕生させたTBSドラマ「Eye love you」はどのように作られたのか?ひと言で言えば、精巧に企画されたコンテンツです。
企画の主体はTBSドラマ制作チームだ。その企画チームには韓国人もひとりいます。日本の地上波TBSの唯一の外国人社員のチャ・ヒョンジプロデューサーです。
チャ・ヒョンジプロデューサーはCJ ENM公式採用2期のPD出身で、「SHOW ME THE MONEY」「M COUNTDOWN」「MAMA」などを演出してきました。彼は新しいことを学びたいという思いで退職して日本留学を選択しました。
「新しいことをやりたくて留学しました。地上波が力を失い、バラエティー番組を消費する環境も大きく変わりました。ドラマをしたかったのですが、転換配置が簡単ではありませんでした。そんな時に、慶應義塾大学に行ってメディアデザイン研究科でメディアアート(インタラクションデザイン)を専攻しました」
チャプロデューサーは大学院を卒業し、2022年11月にTBSに入社してコンテンツ制作局のドラマ制作部所属のプロデューサーとして、日本語でドラマのシナリオも書いてディレクターとしても働いています。彼は日本に行く時には日本語がひとつもできませんでしたが、今は日本語でコミュニケーションしてシナリオも書けるほどに日本語にたけています。
「『Eye love you』は中島啓介メインプロデューサーが最も重要な役割を果たしました。TBSは火曜ドラマをロマンチックドラマとして制作していましたが、今回は新しいことを試みようと思いました。国際恋愛、国際カップルみたいなものです。ちょうど私が、韓国のCJ PD出身で入社して『Eye love you』チームに合流することになりました」
男女主人公を日韓カップルにするということが決まり、チャプロデューサーは「彼女はキレイだった」をリメイクした三浦希紗作家など様々な制作陣と一緒にエピソードを構想し、本宮侑里とユン・テオというキャラクターの関係を作りながらシナリオ作業に入りました。

チェ・ジョンヒョプ の最新ニュースまとめ

最も重要なのは男性主人公を誰にするのかという問題でした。
「制作陣は冒険かもしれませんが、日本語ができなくても1対1で教える覚悟で、日本で人気のある新鮮な人物をキャストしたかったんです。何人か候補がいましたが、幸いチェ・ジョンヒョプさんがやってみたいという意志がありました。所属事務所も大変だがいい機会だと思い、チェ・ジョンヒョプを説得しました」
しかし、いざ演技を準備する過程では困難の連続でした。チャ・ヒョンジプロデューサーが日本語を知らないチェ・ジョンヒョプと1対1で教えました。お互い離れているときはオンラインで教育をしました。たくさん親しくなったかと聞くと『戦友愛が生まれまいSた』」と答えました。
「チェ・ジョンヒョプさんが意志は強かったが日本語がわからなくて苦しみました。日本に来たばかりの留学生役なので、たどたどしくていいですが、日本語をひとつも知らない状態で演じるというのが大きな冒険でした。幸いにも、チェ・ジョンヒョプさんがタイや南アフリカなどで生活したことがあって言語のセンスがありました。どんなにサポートしてもこなしきれないかもしれませんから。チェ・ジョンヒョプさんが本当に頑張りました」
チャ・ヒョンジプロデューサーは冒険をしたのですが、チェ・ジョンヒョプがこれを現実にしてくれました。チェ・ジョンヒョプのたどたどしい日本語は、外国人がたどたどしい韓国語を話したときに愛嬌があるように可愛く聞こえましたし、SNSのコメントには「ヒョプ様」の日本語がどんどん上達してファンが多くなったという文がアップされたりしました。

「最初に感覚を身につける時は、日本の俳優が録音をして送ってくれたものをチェ・ジョンヒョプが憶えるというふうに日本語のセリフを身につけましたが、少したつと自らキャラクターを作り上げなければならないので、自分が直接やってみると言いました。ずっと日本の俳優がしたものを憶えていたら、真似するしかないからとしながら、自分自身の演技をしました」
これと共にチャ・ヒョンジプロデューサーは今回のドラマでは韓国の食文化にも重点を置きました。「今回のドラマには食べ物が重要です。私たちは一緒に食事をする人をシック(食口)というでしょう。『ご飯を食べましたか』があいさつですが、日本人が私に『チャさんは、私がなぜご飯を食べたのか気になるのか』と尋ねました。テオにそれをさせてご飯を作らせて、スンドゥブとラポッキなども盛り込みました。食べ物に力を沢山入れました」
劇中ユン・テオが韓国語で独り言を言う時は字幕が出ないようにしたのも企画の一環でした。好奇心を誘発しながら視聴者にガラスのような立場で見てほしいという装置だったといいます。日本国内5社の放送会社の合作プラットフォームである「TVER」では字幕が出て、1週間後に公開されるNetflixにもテオの言葉が日本語字幕で処理されました。
徹底した企画とチェ・ジョンヒョプの良い演技は「ヒョプ様」シンドロームを誕生させました。チェ・ジョンヒョプは、日本で「ホット」な人物になりました。広告のオファーもあふれています。人生が変わりました。 チェ・ジョンヒョプのInstagramフォロワーは100万人程度から220万人程度に増えました。Instagramのコメントはほぼ日本語です。クランクアップしてからテオのInstagramで撮った俳優たちの写真には「ヒョプ様、おはようございます」などのコメントが4000余りも付けられました。

「ファンイベントをしながら感じたんですけど、ヒョプ様ファンの主軸は日本の30~40代の女性です。日本の大衆文化では、男性は自分が好きだという表現をあまりしません。チェ・ジョンヒョプは頻繁にユリに『好きだ』『かわいい』と表現するじゃないですか。日本女性がテオが幻想的に、また優しく表現をたくさんするので、テオと俳優のチェ・ジョンヒョプを同一視して日本にはないイメージを充足させたのです」
チャ・ヒョンジプロデューサーは「チェ・ジョンヒョプはダンデイ、大型犬、笑顔がきれいな人、ふみさんと身長差がたくさんあるイメージジゃないですか。そんな部分も日本女性の方にはときめくポイントになったようです」と話しました。
チャ・ヒョンジプロデューサーは一緒に働いた日本のプロデューサー、作家、俳優たちが苦労しながらも良いマナーを見せてくれて感謝するというあいさつを忘れませんでした。
「ヒロインとして出る二階堂ふみは子役でデビューして15年の演技のベテランですが、実はチェ・ジョンヒョプより一歳年下です。やはり子役出身で花岡役の中川大志も25歳の若い俳優です。テオにじゃんけんで負けるシーンには涙が出るほどでした。中川さんも今回ファンがたくさん増えました。
チャ・ヒョンジプロデューサーは「『Eye love you』は悪役のいないクリーンなドラマで、頭を使わなければならない伏線がたくさん入っているドラマでもなく、気楽に見るドラマ」と話しました。
「高尚な芸術ドラマを作ったのではなく、働いて帰宅して来てビールを飲みながら軽く見ることができるドラマ、このドラマを見ながらふっと笑えるようにしたい、これを見ればオーラが出るというなら成功だという素朴な希望を持って作ったドラマです。そんな思いが通じたようで感謝します」