伝統芸能と現代の音楽の融合で、大阪の文化芸術活動の活性化を図る「大阪文化芸術創出事業 秋の謡会2022」が、大阪市の大槻能楽堂にて開催された。
昨春に続き2度目の実施となる同イベントは、11月5日(土)・6日(日)と二夜連続で行われ、両日豪華ゲストが登場。
今回は矢井田瞳と和田唱(TRICERATOPS)が極上のアコースティックサウンドで魅了した初日の様子をレポートする。
開演17:00。FM802のDJ・深町絵里が、今夜のステージである格式高い能舞台の上で能楽の歴史や見どころを紹介すると、人間国宝で能楽師の大槻文藏らが半能「石橋」を披露。
背筋が伸びる緊張感と想像以上の迫力で来場者を圧倒するとともに、深町と若手能楽師・大槻裕一のトークでは観客の質問にも答え、奥深い能楽の世界を身近に感じさせてくれた。
そんな余韻十分の能楽に続くのは、TRICERATOPSとソロ、両方の楽曲で聴かせる和田唱のライブ。
まずはやさしいリズムと歌声で温かな心の動きを描き、そのまま滑らかにスケール感ある「Fly Away」へ。大きな手拍子も起きてムードは一変、本人にも笑みが浮かぶ。
さらに今日の出演を“誰もができる経験じゃないですからね”と、また能楽の感想を“僕たちよりロックだな”と語ると、ギターで勝負するジャズのカバーや、彼らしい甘やかなメロディ&リリック&声で引きつける「シラフの月」で酔わせ、曲後の拍手も特大。
最後にはエモーショナルに「Home」で胸を締めつけ、観客をとろとろに溶かした。
ここでいったん和田と深町のトークを挟み、矢井田瞳の時間が到来。
出だしからクラップを伴い伸びやかに「Ring my bell」などを響かせ、さわやかかつリラックスした空気で会場を包む。またMCでは楽屋ですり足に挑戦したことを明かし、能楽のようにノーマイクでひと吠え。大いに「石橋」に感銘を受けたようだ。
だが「キャンドル」でも堂々たるロングトーンを轟かせたうえ、人気曲「My Sweet Darlin’」を痛快に鳴らして最高潮に。そこで迎えるラストナンバーには、子どもたちを思い作った曲「駒沢公園」をセレクトし、未来への祈りでハートをじわりと温め、明日を生きる力を与えてくれた。
さらに特別な夜には和田&矢井田のセッションという、うれしいオマケが。
旧知の仲だという彼らは絶妙なハーモニーで名曲「ケセラセラ」を奏でて能楽堂をハッピーでいっぱいにし、それぞれ“今日の出会いに感謝です”(矢井田)、“次に会うまで笑顔で!”(和田)と言葉を残して舞台をあとにした。
続く、第二夜は、竹原ピストル、山内総一郎(フジファブリック) が出演。
なお今回の模様は後日、FM802 YouTubeチャンネルでダイジェスト映像が期間限定で公開される予定だ。
TEXT 服田昌子 / PHOTO 渡邉一生
■大阪文化芸術創出事業 「秋の謡会2022」
日時:11月5日(土)、11月6日(日)
会場:大槻能楽堂
出演者:
11/5(土)矢井田 瞳、和田唱(TRICERATOPS) / 半能「石橋」 大槻文藏、大槻裕一ほか MC:深町絵里(FM802)
11/6(日)竹原ピストル、山内総一郎(フジファブリック) / 能「安達原」 大槻裕一 ほか MC:大抜卓人(FM802)
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