日本で昔から使われてきた器、漆器。今ではより使いやすいプラスチックのお椀に変わってしまい、その数は減っているようですが、本物志向の方には根強い人気があります。

漆器というとお椀を思い浮かべる方が多いと思います。陶器や磁器よりも軽く、熱い汁物を入れても椀の木地が熱を穏やかに吸収してくれるので表面までは熱さが伝わらず、手でしっかりと持って口に運ぶことができます。また、プラスチックでは味わえない木ならではのあたたかさがあり、手にしたときの感触はやっぱり良いものですね。

漆器のお弁当箱は腐りにくいというお話を耳にしたことはありませんか?漆には、防菌作用があるといわれているため、漆の塗られたお弁当箱はプラスチックのものと比較すると美味しさが長持ちするというのです。その実力のほどは科学的には証明されていないようですが、昔からの知恵として言われていることです。漆は非常に丈夫な素材で、木は放っておけば土に還るのが自然ですが漆を塗られた器は腐りにくいために、ちゃんとお手入れをして大事に使っていればとても長持ちします。6000年以上前の漆器が国内で発掘されています。凄いですね。

伝統的な作り方をしているものは、木を刳りぬいて作られているので持ったときに軽く、椀に厚みがあります。現代的な生産方法で作られたものは、材料に化学木材を使っている場合も多いため、手にしたときに少し重量感があり、薄いのが特徴。汁を注いだときにその実力が発揮されるのですが、伝統手法のものは汁の熱が和らげられるので持っていられるのですが、現代的な作りのものはプラスチックに似た伝わり方をするため、熱い汁の時は表面も熱くてなかなか持っていられません。

伝統的に使われてきた器には、それ相応の計算された先人の知恵が生きているのですね。和食をより美味しく楽しむためには、本物の漆器を選ぶとよいと思います。百貨店などでは、聞けば色々とアドバイスを下さいますから、ぜひ目的にあった器を探してみてくださいね。



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